新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


4/26 勉強会

【研究報告】

担当:川上

タイトル:小脳への経頭蓋電気刺激が小脳から一次運動野への抑制機能に及ぼす影響

  • 背景:小脳抑制(CBI)とは,小脳から一次運動野(M1)への抑制機能であり経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いて評価することが可能である.本研究では,小脳への経頭蓋直流電気刺激(tDCS),経頭蓋ランダムノイズ刺激(tRNS)がCBI及び皮質脊髄路興奮性に及ぼす効果を検討した.
  • 方法:健常成人15名を対象とし,全被験者が右小脳に対する陽極tDCS_1 mA,tDCS_2 mA,tRNS_1 mA(0.1-640 Hz),偽刺激を別日に実施した.TMSによるCBI及びMEPの評価は,tDCS,tRNS前後に実施し変化を検討した.
  • 結果: CBIの変化率(post-pre)及びMEP(post-pre)の変化率の関係について,tRNS条件のみでCBIの減弱とMEPの増大を示す正の相関を認めた.
  • 結論:小脳に対するtRNSによるCBI変化は,M1の興奮性変化を引き起こした.

 

【文献抄読】

担当:太田

タイトル:STING controls nociception via type I interferon signalling in sensory neurons

出典:Donnelly CR et al., Nature (2021) Vol.591: 275–280.

  • 背景:組織損傷やウイルス感染などの際,STINGが刺激されインターフェロンをはじめとする炎症性サイトカイン分泌が促進される.これまで一次感覚神経におけるSTINGの発現が確認されており侵害受容機構への関与が示唆されるが,具体的な制御機構は不明である.
  • 目的:“STING→インターフェロン系”による侵害受容制御機構を明らかにする.
  • 結果:(1)STINGアゴニスト投与により生理的・病態時の機械・冷痛覚・自発痛が抑制された(マウス行動実験).(2)STING欠損マウスで各種痛覚反応が増強された(マウス行動実験).(3)“STING→インターフェロン系”以下の鎮痛機構が明らかとなった(マウス行動実験・電気生理実験・他).(4)“STING→インターフェロン系”による鎮痛機構が霊長類においても実証された(サル行動実験・電気生理実験).
  • 結論:“STING→インターフェロン系”は新たな鎮痛ターゲットとして有用である.