新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


4/12 勉強会

【研究報告】

担当:齊藤

タイトル:後頭頂皮質に対する経頭蓋電気刺激が触覚方位弁別能力にもたらす効果

  • 目的:左右の後頭頂皮質(PPC)に対して経頭蓋電気刺激を与えたときに,右手指の触覚方位弁別能力に生じる変化を検証した.
  • 方法:対象は健常成人男性20名とした.左右いずれかのPPCに対して経頭蓋ランダムノイズ刺激(tRNS),陽極経頭蓋パルス電流刺激(a-tPCS)を与え,刺激前後に触覚方位弁別課題の弁別閾値を計測した.
  • 結果:右PPCに対して刺激を与えたときには右手指の触覚方位弁別閾値が低下した.一方,左PPCに対して刺激を与えたときには右手指の弁別閾値は変化しない,もしくは増大した.
  • 結論:右PPCに対して刺激を与えることで右手指の触覚方位弁別能力は向上するのに対して,左PPCでは刺激後に右手指の触覚方位弁別能力は変化しないか低下する可能性がある.

 

【文献抄読】

担当:藤本

タイトル:Influence of the mode of heating on cerebral blood flow, non-invasive intracranial pressure and thermal tolerance in humans.

出典:Gibbons et al., Journal of Physiology, 599(7):1977-1996, 2021

  • 背景・目的:ヒトが暑熱ストレスにさらされると、認知機能や起立耐性の低下、運動耐性が低下することから、ヒトの脳は暑熱ストレスに非常に脆弱であると考えられている。このヒトの脳の暑熱脆弱性に関して、これまでの多くの研究では脳への血流供給の破綻が原因であると考えられているが、頭蓋内圧上昇の影響については不明な点が多い。また、ヒトの暑熱負荷時の脳血流反応は様式によって様々であることから、本研究では、暑熱負荷の様式の違いが脳血流反応、頭蓋内圧、及び暑熱耐性に及ぼす影響を検討した。
  • 方法:14名の健康な成人 (男女各7名) において、温浴 (水温40℃)、サウナ (気温46℃、相対湿度68%)、暑熱下運動 (気温38℃、相対湿度20%)、暑熱下運動+CO2吸入 (暑熱下運動と同様の環境)の4条件の暑熱ストレス負荷を行い、脳血流反応、頭蓋内圧、暑熱耐性などを測定した。
  • 結果:温浴条件および運動条件では脳血流量の減少はみられなかったが、サウナ条件では脳血流量が減少した。脳血流反応は条件間で異なるにもかかわらず、暑熱耐性 (実験終了時の食道温) に条件間の差はみられなかった。頭蓋内圧はいずれの条件においても実験前と比較して実験終了時に上昇していたが (約18%上昇)、条件間に差はみられなかった。
  • 結論:ヒトの脳の暑熱脆弱性について検討する場合に、脳血流反応と合わせて頭蓋内圧の影響を考慮することが重要である。