新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


11/30 勉強会

【研究報告】

担当:鈴木

タイトル:変形性膝関節症とRate of Force Developmentとの関係性

  • 目的:変形性膝関節症 (膝OA) とRate of Force Development (RFD) との関係性を明らかにすることを目的とした。
  • 方法:膝OAを有する地域在住高齢者66名を対象に,膝レントゲン撮影,下肢筋力測定を実施した。膝O Aの重症度評価 (K&L grade) に関しては,膝レントゲン画像より医師が評価を行った。また,下肢筋力測定の結果より,RFDと最大筋力の算出を行った。
  • 結果:膝O Aが重度な対象者 (K&L grade 3-4) において,軽度な対象者 (K&L grade 1-2) と比較して,有意なRFDの低下が認められた。最大筋力においては,膝OAの重症度による有意な変化は認められなかった。
  • 結論:膝OAが悪化するほどRFDが低下する可能性が示唆された。今後は因果関係も含めた更なる検討が必要である。

 

【文献抄読】

担当:下門

タイトル:Muscle-Tendon Interaction During Human Dolphin-Kick Swimming

出典:Sano et al., frontiers in Physiology, 13 September 2019.

  • 背景:流体力や粘性、浮力の影響がある低衝撃環境の水泳において、ヒトが筋-腱の相互作用を活用しているのか分かっていない。
  • 目的:異なる泳速度におけるドルフィンキック泳中のヒトの筋腱複合体(MTU)の状態を調査する。
  • 方法:11名の男子競泳選手が参加し、25m屋内プールで最大努力(Fast)と通常速度(Normal)で水中ドルフィンキックを行った。泳中の膝関節角度、VLとRF筋活動測定、VL中腹の超音波画像を撮像した。
  • 結果:Fast と Normalの2試技間で膝関節角度に違いは見られず、一方でFastにおいてVL筋束長の伸長が抑えられたままVL腱長は多く伸長していた。また、VLの筋活動量も増大していた。
  • 結論:ヒトの運動では、陸上だけでなく水中においても、効率的な筋出力によって筋束の伸縮速度の増加を抑えており、パワー出力向上のために腱の弾性エネルギーを使って推進していることが示唆された。