新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


6/1 勉強会

【研究報告】

担当:山代

タイトル:感覚情報処理のモダリティ特異的な改善

  • 目的:アスリートはそのトレーニングにより高いパフォーマンスを発揮する。それらの要因として感覚情報処理の促進が起こっていると考えられる。感覚情報処理はこれまで感覚特異的(Unimodal)なものと非感覚特異的(Multimodal)な処理があることが報告されている。そこで、本研究ではそれらの成分に着目して実験を行った。
  • 方法:被験者は野球群10名と陸上群12名を対象とした。体性感覚および聴覚のGo/Nogoパラダイムを用いて、それぞれの感覚誘発電位とNogo電位、Go/Nogo識別時間を計測した。刺激の頻度は50:50とした。
  • 結果:野球群において体性感覚誘発電位およびNogo電位の潜時の短縮が認められた。一方で、聴覚誘発電位は2群に有意な差を認めなかった。また、野球群において体性感覚Go/Nogo識別時間が速く、聴覚Go/Nogo識別時間に2群間に有意な差はなかった。
  • 考察:このことから、指先の感覚を頻繁に利用する野球群で体性感覚情報処理が促進され、それがNogo電位を促進し、Go/Nogo識別時間に影響を与えていることが示唆された。また、これらの変化はモダリティ特異的に起こるかもしれない。

 

【文献抄読】

担当:宮口

タイトル:Posttraining alpha transcranial alternating current stimulation impairs motor consolidation in elderly people

出典:Neural Plasticity, 2019. Rumpf et al.

  • 目的:高齢者において,運動練習後のM1へのα-tACS(実験1)およびβ-tACS(実験2)介入が運動統合に及ぼす影響を調べること.
  • 方法:対象は右利き健常高齢者33名(実験1:16名,実験2:17名)であった.tACSは,左一次運動野および右眼窩上部に電極を貼付し,運動練習後に1.0 mAにて15分間介入した.刺激周波数は,10 Hz(実験1)と20 Hz(実験2)とした.運動学習課題には,右手のシークエンス課題を用いた.
  • 結果:α-tACS介入群は,コントロール条件に比べ,運動練習後6時間後の運動スキルの保持が低下する結果が得られた.β-tACS介入群においてはコントロール条件との差は認められなかった.
  • 結論:高齢者において,運動練習後のM1へのα-tACS介入によって運動統合が低下することが示唆された.