新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


12/16 勉強会

【研究報告】

担当:徳永

タイトル:体幹前傾姿勢が重心の運動制御へ与える影響―動的可操作性解析を用いた検証―

  • 目的:動的可操作性解析を用いて体幹前傾姿勢時の「COMの動かしやすさ」の変化を明らかにすること.
  • 方法:本研究は下腿部,大腿部,体幹部複合体(HAT)の3つのセグメントより構成される矢状面2次元モデルを用いてシミュレーションを行った.モデルのエンド・エフェクターを身体質量中心(COM)と仮定し,動的可操作性解析に基づくTask Compatibility(TC)により,鉛直方向の「COMの動かしやすさ」を定量化した.モデルの足関節底屈0°に設定した後に,体幹前傾角度を5 – 55°の範囲から,膝関節屈曲角度を0 – 40°の範囲からそれぞれ選択した各姿勢条件でTCを算出した.
  • 結果:鉛直方向TCは1) 体幹前傾角度による影響をほとんど受けないこと,2) 膝関節屈曲角度の変化によって増大すること,の2点が明らかとなった.
  • 考察:本研究の結果,膝関節屈曲を伴う体幹前傾姿勢では鉛直方向へCOMを動かしやすくなることが明らかとなった.先行研究において,ヒトが立位バランス保持を行っている際に不安定感を感じた場合,股・膝・足関節を連動して屈曲させることで重心を下方へ変位させるサスペンソリー・ストラテジーを実施することが報告されている.そのため,鉛直方向のCOMの動かしやすさを向上させることのできる膝関節屈曲を伴う体幹前傾姿勢はサスペンソリー・ストラテジーを活用しやすい姿勢である可能性が考えられた.