新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


11/11 勉強会

【研究報告】

担当:宮口

タイトル:経頭蓋交流電流刺激が運動パフォーマンスに与える影響

  • 目的:経頭蓋交流電流刺激が運動パフォーマンスに与える影響を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:実験1では,tACSの刺激部位(M1,小脳,M1小脳)および刺激周波数(20 Hz,70 Hz)の違いによる影響を検討した.また実験2では,刺激位相(実験2)の違いによる影響を検討した.また実験3では,刺激強度(1 mA,2 mA)の違いによる効果を検討した.各条件介入中に右示指外転運動による視覚追従課題の成績を評価した.
  • 結果:M1,小脳への単独刺激に比べ,M1小脳を同時に刺激する条件において視覚追従課題のエラーが有意に低下した.またこの効果は,70 Hz条件でのみ認められ,20 Hz条件では認められなかった.さらにM1小脳へ与える交流電流の位相が逆位相のときにエラーが有意に低下し,同位相条件ではエラーの変化は認められなかった.刺激強度の違いによる効果の差は認められなかった.
  • 結論:一次運動野領域および小脳皮質領域をγ帯域の周波数で,逆位相の刺激をすることにより,刺激中の視覚追従課題の成績が向上することが明らかになった.またその効果は刺激強度には依存しない可能性が示唆された.

 

【文献抄読】

担当:小島(将)

タイトル:Aerobic Interval Training Impacts Muscle and Brain Oxygenation Responses to Incremental Exercise

出典:Caen K et al., Front. Physiol., doi: 10.3389/fphys.2019.01195.

  • 目的:6週間の有酸素インターバルトレーニング介入による漸増負荷運動中の脳および筋の酸素化パターンの変化を明らかにし,酸素化パターンの変化と運動耐容能の変化の関連を評価すること.
  • 方法:対象は健康で活動的な若年男性11名とした.週3回の頻度で6週間の有酸素インターバルトレーニング介入を実施した.介入前後に漸増ランプ負荷テストを行い,その際の呼吸代謝,脳(右前頭前野)および筋(右外側広筋)の酸素化反応を評価した.呼吸代謝は最高酸素摂取量(VO2peak)を計測し,酸素化反応は各関心領域で酸素化ヘモグロビン(O2Hb),脱酸素化ヘモグロビン(HHb),総ヘモグロビンを計測した.
  • 結果:VO2peakは介入前と比較して介入後に有意に増加した.脳のO2HbとtotHbの振幅は介入前と比較して介入後に有意に増加した.筋のHHbとtotHbの振幅は介入前と比較して介入後に有意に増加した.また,筋のHHbとtotHbの振幅増加とVO2peakの増加に有意な正の相関が認められた.
  • 結論:VO2peakの変化は筋の酸素化パターンの変化と関連し,脳の酸素化パターンの変化とは関連しないことが明らかとなった.