新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


4/22 勉強会

【研究報告】

担当:大鶴

タイトル:内受容感覚が皮質脊髄路興奮性に及ぼす影響

  • 目的:内受容感覚の一つである心臓からの求心性入力は、感覚情報処理に影響を及ぼすことが知られていた。しかしながら、運動の経路である皮質脊髄路に対しての影響は不明であった。そこで、心臓からの求心性入力が皮質脊髄路の興奮性におよぼす影響を検討した。
  • 方法:心拍R波から100、200、300、400ミリ秒後に運動野をTMSで刺激し、運動誘発電位を記録し、その振幅を解析した。
  • 結果:条件間においてMEP振幅には有意な変化が認められなかった。しかしながら内受容感覚に対する鋭敏性の個人差において、皮質脊髄路の変調が異なることが示された。
  • 結論:心臓からの求心性入力により、皮質脊髄路の興奮性が変調する可能性が示唆された。しかしながら、その神経基盤は不明であるため今後さらなる検討を行う。

 

【文献抄読】

担当:横田

タイトル:Neuroplasticity Associated With Anterior Cruciate Ligament Reconstruction

出典:Grooms et al. 2017;47(3):180-189.

  • 目的:ACL再建術後の患者群とコントロール群の膝関節屈伸運動中の皮質活動をfMRIを用いて計測し,機能低下が遷延する原因を皮質活動の違いから探ることを目的とした.
  • 方法: 再建術後6か月から5年経過した,日常生活に戻っている患者群およびコントロール群それぞれ15名において,膝関節45°屈曲位から最大伸展位の反復運動中の皮質活動をfMRIを用いて測定し,運動中の皮質活動領域の違いを検討した.
  • 結果: ACL再建群において,対側運動野,感覚情報の統合と痛覚処理を行う同側二次体性感覚野,視覚と体性感覚のcross-modal処理を行う舌状回の活動増大,同側運動野,小脳虫部の活動低下が認められた.
  • 結論: ACL再建後の患者は,失われた機械受容器からの情報を補うために,視覚と体性感覚のcross-modal処理や高次の視覚・体性感覚処理領域の代償的な賦活が認められ,筋骨格系のリハビリテーションにおいても神経可塑的な原則を取り入れる必要性が示唆された.