新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


2/18 勉強会

【研究報告】

担当:宮口

タイトル:一次運動野および小脳へのtACS中の運動パフォーマンスの変化

  • 目的:一次運動野領域および小脳皮質領域へのtACS中の運動パフォーマンスの変化が刺激強度に依存するかどうかを明らかにすることを目的とした.
  • 方法:対象は健常成人20名であった.tACSの刺激周波数は70Hzとした.刺激時間は30秒間とした.刺激部位は左一次運動野領域および右小脳半球領域とした.刺激条件は,①1.0 mAの強度で刺激する条件,②2.0 mAの強度で刺激する条件,③疑似刺激条件の3条件とした.各条件介入中に右示指外転運動による視覚追従課題の成績を評価した.
  • 結果:1.0 mA条件,2.0 mA条件ともに視覚追従課題の1セット目においては,ベースラインのエラーが大きい人ほど刺激によりエラーが減少する関係性が認められた(p<0.05).しかし,2セット目においては同様の関係性は認められなかった.また視覚追従課題のエラーは1セット目に比べ2セット目に低値を示した(p<0.01).
  • 結論:一次運動野領域および小脳皮質領域をγ帯域の周波数で同時刺激することにより,視覚追従課題の成績が低い人ほど,成績が向上する可能性が示唆された.またその効果は刺激強度には依存せず,エラーの大きい期間に有効である可能性が示唆された.

 

【文献抄読】

担当:中村

タイトル:Predictors of Elbow Torque Among Youth and Adolescent Baseball Pitchers

出典:Okoroha et al. Am J Sports Med. 2018;46(9):2148-2153.

  • 背景・目的:少年野球選手において,オーバーユースによる投球障害の頻度が増加し,問題視されている.ウェアラブルセンサーを用いて,少年野球選手の肘内側に加わるトルク予測値を検討.また,球種(ストレート・カーブ・チェンジアップ)の違いおよび投手プロフィールの違いによる特徴を検討する.
  • 方法:少年野球投手20名を対象に,3軸ジャイロスコープおよび加速度センサー付きウェアラブル端末装着下にて投球動作を実施し,各球種における肘内側トルク,Arm Speed,Arm slot,Shoulder rotationを測定した.また,投手の各球種の投球能力(0-100;主観的評価),身長,体重,BMIを調査した.
  • 結果および結論:肘の内側に加わるトルクはストレートが最大(47.3±0.5Nm)となり,チェンジアップより7%,カーブより2%大きかった.多変量モデルによる肘トルクに関わる因子を検討した結果,肘内側に加わるトルクを増大させる因子は,球速増大,BMIの増加およびボールリリース減少と関連があった.また,減少させる因子には加齢,上肢長の増大,肘周径の増大があげられた.