新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


12/3 日本基礎理学療法学会予演会

【基礎理学療法学会予演会】

担当:伊藤

タイトル:側方ホップの方向による膝関節外反モーメントの大きさの違い

  • 目的:側方ホップの方向による膝関節外反角度と膝関節外反モーメントの大きさの違いを明らかにする.
  • 方法:対象は健常男性21名とした.動作課題として内方向と外方向への片脚ホップを設定した.動作課題は内方向および外方向の片脚ホップとした.動作解析は3次元動作解析装置を用い,膝関節外反角度,膝関節外反モーメントの片脚ホップの方向による差を比較した.
  • 結果:膝外反角度について内方向は外方向に比べ有意に大きかった(p<0.05).膝外反モーメントについて外方向は内方向に比べ有意に大きかった(p<0.05).
  • 結論:側方ホップにおける膝関節外反モーメントについて,外方向が内方向に比べて大きく,運動だけでなく力を考慮して動作を実施する必要があることが示唆された.

 

担当:徳永

タイトル:ハムストリングスは膝関節を伸展させるか―数理モデルによる検証―

  • 目的:数理モデルを用いてハムストリングスが膝関節伸展作用を発揮できる姿勢を明らかにすること.
  • 方法:身長1.8m,体重80kgの対象者を仮定し,体幹・大腿・下腿から構成される矢状面リンクモデルを構築した.順動力学シミュレーションは膝関節を屈曲0-90度,股関節を伸展30-屈曲90度の範囲内から初期姿勢を規定した後に,HAMに張力を生じさせることによって実施した.HAM機能の効果判定には,順動力学シミュレーション開始時と終了時の膝関節屈曲角度の差を用いた.
  • 結果:HAMは膝関節屈曲7-0度かつ股関節屈曲2-62度(条件1),膝関節屈曲44-90度かつ股関節伸展30-屈曲50度(条件2),の2つの条件下で膝関節伸展作用を発揮した.条件1では膝関節屈曲角度が小さいほど,条件2では膝関節屈曲角度が大きいほどHAMの膝関節伸展作用は強くなる傾向にあった.
  • 結論:本研究の結果より,2つの条件下においてHAMが膝関節伸展作用を発揮する可能性が示された.このHAMの膝関節伸展作用をうまく活用することが出来れば,大腿四頭筋の機能不全を有する者であっても,歩行などの日常生活を円滑に遂行できる可能性が考えられた.

 

担当:小島(将)

タイトル:背臥位での中強度運動が運動後の認知機能へ与える影響

  • 目的:背臥位エルゴメータ運動が運動後の認知機能へ与える影響を明らかにすることである.
  • 方法:対象は健常成人男性10名(20.7±0.4歳)とし,座位条件と背臥位条件の2条件を実施した.最高酸素摂取量の50%強度で20分の自転車エルゴメータ運動を行った.運動前後にストループ課題と単純反応課題を用いて反応時間を測定した2つの課題の反応時間の差から認知処理速度を算出し,運動前後で比較した.
  • 結果:両条件で認知処理速度が運動前(座位条件: 472.4±128.0 ms, 背臥位条件: 461.3±111.3 ms)と比較し運動後(座位条件: 423.7±114.2 ms, 背臥位条件: 397.3±115.2 ms)に有意に短縮した(p < 0.01).
  • 結論:背臥位中強度運動により運動後に認知処理速度が短縮することが明らかとなった.