新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


6/4 勉強会

【研究報告】

担当:椿

タイトル:中強度運動中および運動後の大脳皮質酸素化ヘモグロビン,脱酸素化ヘモグロビン,総ヘモグロビンと生理学的指標の変化との関連

  • 目的:中強度運動の急性効果として,酸素化ヘモグロビン,脱酸素化ヘモグロビン,総ヘモグロビンの変化が報告されているが,これらが脳内で生じている現象か,全身性の変化の影響を受けた現象であるかを区別する必要がある.本研究の目的は,運動後の生理学的指標と酸素化ヘモグロビン,脱酸素化ヘモグロビン,総ヘモグロビンとの変化の関係を示すことである.
  • 方法:健常成人12名を対象とし,中強度での自転車エルゴメータ駆動を20分間実施し,その後15分の安静を保持した.この間,24チャネルで左右前頭前野,左右運動前野,補足運動野,一次運動野をカバーするようプローブを配置し,酸素化ヘモグロビン,脱酸素化ヘモグロビン,総ヘモグロビン計測した.同時に,循環および換気指標の変動も記録した.
  • 結果:全24チャネルを平均した酸素化ヘモグロビンおよび総ヘモグロビンは,運動後も高値であった.呼気終末二酸化炭素濃度との間に相関関係は認められなかった.
  • 結論:この結果から,20分間の中強度運動後の15分間は酸素化ヘモグロビンおよび総ヘモグロビンが高値であるり,全身性の変化の影響は少ないことが示された.

 

【文献抄読】

担当:高橋

タイトル:Thinning of articular cartilage after joint unloading or immobilization. An experimental investigation of the pathogenesis in mice.

出典:Nomura et al. Osteoarthritis Cartilage. 2017;25(5):727-736.

  • 目的:非荷重と関節固定の2種類の動物モデルを用い,メカニカルストレスの減弱が関節軟骨と軟骨下骨に与える影響を多角的に検証する.
  • 方法:8週齢のマウスをControl群(n=6),同週齢時に尾部懸垂をするHU群(n=12)とK-ワイヤーで関節固定するIM群(n=12)に振り分け,関節軟骨および軟骨下骨を組織形態学的,組織化学的および免疫組織化学的手法により分析した.
  • 結果:Control群と比較してHU群とIM群では,非石灰化層の軟骨幅と全体の軟骨幅が有意に減少した.また,非石灰化層においてはアグリカンが減少し,ADAMTS-5陽性細胞数が増加した.ALP活性も同様に非石灰化層で有意に増大した.一方,石灰化層では,ALP活性が低下し,RANKL/OPG比が有意に増加した.軟骨下骨では,破骨細胞の活性化や骨量の低下を認めた.肥大軟骨細胞マーカーであるⅩ型コラーゲンについては,変化しなかった.
  • 結論:メカニカルストレス減弱による軟骨変性は,OAとは異なる機序が存在する.