新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


3/19 勉強会

【文献抄読】

担当:菊元

タイトル:Young athletes after ACL reconstruction with quadriceps strength asymmetry at the time of return-to-sport demonstrate decreased knee function 1 year later.

出典:Ithurburn et al. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc 2018;26(2):426-433.

  • 背景:膝前十字靭帯(ACL)再建術後の競技復帰における,大腿四頭筋(QF)の筋力低下は,膝関節機能低下に寄与するとの報告がある.しかしながら,競技復帰時におけるQF値が,縦断的な膝関節機能に与える影響が検討されていない.
  • 目的:本研究の目的は,競技復帰時のQF値の左右非対称性が,復帰1年後の膝関節機能に,また復帰1年後の機能回復率にどのような影響を与えているか明らかにすることである.
  • 方法:参加者は,初回,片側膝関節再建術後の76名,若年アスリート(平均年齢:17.3歳)ととし,競技復帰時と復帰1年後に測定を行った.競技復帰時に等速性筋力によるQF値を測定し,QF値の左右差による群分け(HQ群:10%以内,LQ群:10%以上)を行い,各群によるLimb Symmetry Index(LSI)を算出した.また膝関節機能は,国際膝関節症委員会の主観的フォーム(IKDC),膝関節損傷および変形性関節症スコア(KOOS)を使用して検証を行った.
  • 結果:競技復帰時のQF値は,復帰1年後のLSIにおけるトリプルホップテスト(p = 0.020),また,膝機能機能である尺度であるKOOS-Sport/Recスコア(p = 0.039)とIKDCスコア(p = 0.011)において,HQ群とLQ群との間に有意な差を認めた.さらに、HQ群のKOOS-Symptom(p = 0.040),およびKOOS-Sport/Rec(p = 0.017)において,LQ群と比して高い機能回復率を示した.
  • 結論:ACL再建術後,競技復帰時のQF値の左右非対称性を有する若年アスリートは,競技復帰1年後において膝関節機能低下を示し,加えて機能回復率が低下することを実証された.再建術後の競技復帰は,QF値に注視した復帰条件が必要であり,特に左右非対称性に焦点を当てたリハビリテーション指導が,再損傷リスクを軽減する可能性が示唆された.