新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


3/5 勉強会

【研究報告】

担当:中村(雅)

タイトル:皮膚冷刺激下での低負荷筋力トレーニングの効果の検討

  • 背景:筋力低下に対する治療法として筋力トレーニングが実施されることが多い.特に高齢者を対象とした筋力トレーニングでは,低負荷でも効果的なトレーニング方法が必要となる.その中の1つに皮膚冷刺激があり,低負荷筋力トレーニングでも皮膚例刺激を併用することで有意な筋力増強効果があることが報告されている.しかし,神経的要因に関する筋力増強効果を示唆するものが多く,筋厚などの構造的な変化については明らかではない.
  • 目的:皮膚冷刺激下での低負荷トレーニングが上腕三頭筋の筋厚および筋力に及ぼす影響を明らかにすること.
  • 方法:対象は健常男性大学生12名とした.左右を非冷却側と冷却側に無作為に群分けし,上腕三頭筋を対象に最大挙上量(1 RM)の50%の負荷量で8回3セットの筋力トレーニングを週3回,6週間実施した.筋力トレーニング開始前と8週後の1RMと筋厚を測定した.統計学的処理は,1RMと筋厚の変化に関して,分割プロット分散分析を用いて検討した.
  • 結果:統計処理の結果,有意な交互作用は認められなかったが,非冷却側および冷却側ともに筋力トレーニング介入後に1RMと筋厚の有意な増加を認めた.
  • 結論:皮膚冷刺激下での低負荷トレーニングは,低負荷トレーニングのみと比較してより大きな筋力増強,筋肥大効果がないことが明らかになった.

 

【文献抄読】

担当:椿

タイトル:Cerebral blood flow, frontal lobe oxygenation and intra-arterial blood pressure during sprint exercise in normoxia and severe acute hypoxia in humans

出典:Curtelin et al. J Cereb Blood Flow Metab. 2018;38(1):136-150.

  • 目的:スプリント運動中,運動直後の脳血流と脳の酸素化を,通常酸素下と低酸素下で測定し, 脳の酸素化と過灌流の回避のどちらを優先するかを明らかにすること.
  • 方法:通常酸素下と低酸素下で30秒間のスプリント運動(Wingate test)を実施し,その間の中大脳動脈血流速度,前頭葉組織酸素化指数,動脈内圧,心拍出量等を測定.
  • 結果:通常酸素下では,運動中に中大脳動脈血流速度は10%低下し,前頭葉組織酸素化指数との間に強い正の相関関係.運動後も似た傾向.低酸素下では,脳血流コンダクタンスや中大脳動脈血流速度が通常酸素下よりも高値.
  • 結論:通常酸素下では過灌流回避を優先し,低酸素下では能の酸素化を優先する.