新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


6/19 勉強会

【研究報告】

担当:玉越

タイトル:脳出血後の早期リハビリテーションの効果に関する研究

  • 目的:本研究は、脳出血後のトレッドミル走行の実施時期の違いが運動機能回復および中枢神経系に与える影響について検証した。
  • 方法:実験群には、偽手術+非運動群、脳出血+非運動群、脳出血+早期介入群、脳出血+後期介入群を設けた。脳出血モデルラットは左線条体にコラゲナーゼを微量注入して作製した。早期介入群は術後2日目から8日目まで、後期介入群は術後9日目から15日目までトレドミル走行を11m/分で60分間実施した。運動機能評価を経時的に行い、術後16日目に脳組織を採取した。脳切片を作製してNissl染色を施し、損傷体積、大脳皮質の厚さ、神経細胞数の解析を行った。
  • 結果:早期介入群は後期介入群と比較して運動機能障害が有意に改善した。早期介入群は、後期介入群および非運動群と比較して大脳皮質の萎縮が有意に抑制されていた。
  • 結論:脳出血後の早期介入には、大脳皮質における神経保護作用を高める効果があると考えられる。

 

【文献抄読】

担当:中村(絵)

タイトル:Epidemiologic Comparison of Pitching Mechanics, Pitch Type, and Pitch Counts Among Healthy Pitchers at Various  Levels of Youth Competition.

出典:Riff AJ et al. Arthroscopy. 2016;32(8):1559-68.

  • 目的:投球障害において,不十分な休息,不良なフォーム,変化球の使用は修正可能なリスクとされている.しかしこれらのリスクについて各年代を比較した研究は少なく,適切な指導につなげられていない.本研究は異なる競技レベル(年代)投手における投球歴・投球動作および変化球の使用について比較検討する.
  • 方法:9-22歳までの地域チーム所属の野球選手を対象に,質問紙および直接問診による野球歴の調査,肩関節回旋可動域,投球動作測定を行った.投球側に痛みの既往がある者,手術歴のある者,サイドスローまたはアンダースロー投手は除外した.
  • 結果:295名が解析対象であった.野球歴の増加に伴い有意な肩外旋可動域増大,内旋可動域減少,トータル回旋可動域増大が認められた.また,年代が上がるにつれ複数チームに所属,年間9か月以上プレー,変化球使用選手の割合が増加し,13-15歳では1シーズン中にガイドライン推奨の投球数を超えた選手が26.4%に認められた.投球動作は,年代が上がるつれ,ストライド幅が増大,ボールリリース時の膝・股関節屈曲角度の増大が認められた.
  • 結論:年代が上がるにつれて,試合・週・シーズン・年間での投球数増加がみられガイドラインを超える割合が増加していた.特に13歳以降では変化球使用を含め,注意していく必要があることが示唆された.また投球フォームや球速は年代に伴い向上がみられた.