新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


3/27 勉強会

【研究報告】

担当:大鶴

タイトル:身体認知に関する臨床研究と触覚情報処理に関する基礎研究

<臨床研究>

  • 目的:口腔内慢性疼痛患者において、舌の身体認知(サイズ認知)と心理スケールの関連を調べること。
  • 方法:健常成人23名、口腔内慢性疼痛患者28名を対象とし、舌の大きさ認知課題とpain catastrophizing scale(PCS)との関連を調べた。
  • 結果:患者群において、PCSの拡大視と舌のサイズ認知に有意な負の相関関係を認めた。
  • 結論:PCSと口腔内慢性疼痛患者の身体認知には関連があることが示唆された。

<基礎研究>

  • 目的:触覚情報処理における受容器空間と外部空間の関連を調べること
  • 方法:健常成人10名を対象とし、外部空間における位置が異なる2条件(両手が近接している条件、離れている条件)において、触覚刺激に対する脳活動を、MEGを用いて検討した。
  • 結果:両手からの情報統合に関し、特に右一次体性感覚野において外部空間における位置情報から修飾を受ける傾向を認めた。
  • 結論:一次体性感覚野での触覚情報処理は、受容器空間だけでなく外部空間の情報によって修飾されることが示唆された。

 

【文献抄読】

担当:玉越

タイトル:Enhanced apoptosis from early physical exercise rehabilitation following ischemic stroke

出典:Li et al. Journal of Neuroscience Research 2017;95:1017-1024

目的:本研究は脳虚血後の早期運動療法がアポトーシス関連因子に与える影響について検証した.

方法:SD系雄性ラットに対し,中大脳動脈閉塞再潅流モデルを施した.発症後6時間後,24時間後,3日後に運動を行い,実験終了後3時間後もしくは24時間後に組織解析を行った.アポトーシスによる細胞死の量的解析をELISA法にて行った.アポトーシス関連因子として,アポトーシス誘導因子であるBax,Caspase-3と抗アポトーシス関連因子であるBcl-2をウェスタンブロッティング法にて解析した.

結果:アポトーシスによる細胞死が発症6時間後の運動によって促進された.また,Bax,Caspase-3のタンパク発現量が発症後早期に運動を行った群で有意に増加した.さらにBcl-2タンパク発現量に対するBaxタンパク発現量の割合が発症6時間後の運動によって高値を示した.

結論:本研究から脳梗塞発症初期の運動はアポトーシス誘導関連タンパクの発現を増加させ,アポトーシスによる細胞死量を増加させることが分かった.