新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


11/21 勉強会

【研究報告】

担当:竹原

タイトル:異なる運動強度の粗大運動が与える大脳皮質の酸素化ヘモグロビン動態について

  • 目的:運動中ならびに運動後で大脳皮質の酸素化状態の変化の仕方に違いについては明らかにすること
  • 方法:被験者は健常若年者13名とし,各被験者に最高酸素摂取量の30%・50%・70%強度の自転車エルゴメータを10分間駆動させ,その後10分間安静をとるものとした.
  • 結果:1)運動開始直後のO2Hbの低下量に強度間の差はなかった.2)運動開始直後のO2Hbの低下を示す時間は,高強度が有意に中強度よりも遅かった.3)運動中の単位当たりの増加量に強度間の差はなかった.4)運動終了直後においてO2Hbの低下が,中強度高強度に確認された.5)運動終了後安静には変曲点があり,その点から運動後安静終了までの単位時間当たりの変化量は低中強度は負の値を示し,高強度では正の値を示した.
  • 結論:運動強度が異なると,神経活動以外の要因で大脳皮質の脳血流動態に変化が生じる可能性あり

 

【文献抄読】

担当:下門

タイトル:Effect of acute noxious stimulation to the leg or back on muscle synergies during walking

要旨

  • 背景:ヒトは痛みによって筋シナジーが減少するなど、筋内および筋間の運動への動員の再配分が起こる。単純運動では調べられてきたが、歩行の場合はほとんどわかっていない。
  • 目的:1.実験的な筋痛がトレッドミル歩行中のキネマティクスと筋協応(筋シナジーと筋活動振幅が反映されるもの)に及ぼす影響を調査する。2.鎮痛が起こる場所(腰と下腿)の比較をする。
  • 方法:16名(女性6名)の健常者にトレッドミル(0.94m/s)で6分間歩行してもらい、動作分析(Vicon)と筋電図(全19筋)を計測した。試技は1)コントロール、2)腰痛、3)腰痛回復、4)ふくらはぎ痛、5)ふくらはぎ痛回復の5試技を行った。痛みは、高張食塩水を脊柱起立筋と内側腓腹筋に注射することで実験的に作り出した。得られた筋活動データについて非負値行列因子分解(NMF)を行い、シナジーを抽出した。
  • 結果:腰痛時には腰の左右の動きへ影響し、腰痛時もふくらはぎ痛時も腓腹筋の振幅減少がみられた(GM、GL)。5つの筋シナジーが抽出され、体幹の屈曲に関連するシナジーが特に影響を受けている様子が見られた。
  • 結論:歩行の推進と体重保持に関するシナジーは痛みによって大きく影響しないが、歩行の体幹屈曲、体幹伸展、脚の減速に関するシナジーは痛みによって変化する。ただし、それには個人差がみられる。