新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


11/14 勉強会

【研究報告】

担当:大野

タイトル:MVC with TMS hybrid trainingが起こす最大筋出力の増大過程

  • 背景:MVCと二連発TMSを組み合わせた最大筋力トレーニング(MVC with TMS hybrid training)は、MVCを増大させ、皮質脊髄興奮性を変化することが示されている。しかし、その効果がどこまで継続し、どのようにMVC増大へつながっているのかは明らかでない。
  • 目的:MVC with TMS hybrid trainingによる最大筋力増加過程をMVC値と運動誘発電位(MEP)の変化から検討する。
  • 方法:実験群、コントロール群各7名によって右FDI筋を対象に1日おき17日間にわたるトレーニングを実施した。1日のトレーニングは2秒間の最大つまみ運動を1分間隔で3回の反復を1セットとし4セット実施した。セット間は5分休息した。介入刺激は強度を安静時閾値、刺激間間隔を1.5msとした。皮質脊髄興奮性の測定は、MEPが約1mV誘発される強度でトレーニング前、トレーニング終了直後、5、10、15分後に測定した。
  • 結果:平均MVC値はトレーニング9日目から増加したMVC値の差に有意な差が認められた。MEP振幅値はトレーニング直後から低下したが、実験群はトレーニング後期になると低下が減少した。
  • 結論:1日おき17日間にわたるMVC with TMS hybrid trainingは、TMS刺激なしのトレーニングに比べ約2.4kg高く筋力が増加した。その背景には皮質脊髄興奮性の変化が関連している可能性が考えられる。

 

【文献抄読】

担当:山代

タイトル:Enhanced response inhibition in experienced fencers

要旨

  • 目的:フェンシングは攻防が目まぐるしく入れ替わるオープンスキル種目である。このことから、熟練したフェンサーは、課題に対して抑制反応が強化されている。この反応に対する電気生理学的基盤を明らかにすることを目的とした。
  • 方法:視覚刺激を用いてGo:Nogo=8:2の割合で提示した。電極はFz、FC1、FC2、Cz、CP1、CP2、Pzに設置し、Go電位およびNogo電位を記録した。
  • 結果:フェンサーは、ノンフェンサーに比べNogo-N2が増大し、逆にNogo-P3はフェンサーで減弱した。また、Nogo-N2、Nogo-P3ともにフェンサーで潜時が短縮していた。同様に、Go/Nogo反応時間および正確性もフェンサーで有意に速かった。
  • 考察:Nogo-N2の増大は安定的な注意配分と処理速度によるもので、Nogo-P3の減弱はより効率的に抑制反応ができていることを示唆している。これらの指標は、フェンサーの実行機能レベル評価やトレーニング過程での能力改善をモニターするのに役立つ可能性がある。

 

担当:齊藤

タイトル:A single dose of lorazepam reduced paired-pulse suppression of median nerve evoked somatosensory evoked potentials.

要旨

  • 目的:一次体性感覚野内の皮質内抑制にGABAAが関与するか否かを明らかにすることを目的としている.
  • 方法:対象はGABAA作動薬であるロラゼパムを服用する群(介入群)13名とプラセボ群10名とし,介入前後で2連発の正中神経刺激を与えてpaired pulse suppression(PPS)を計測・比較した.
  • 結果:介入群ではN20-P25におけるPPIが減弱したが,プラセボ群ではPPIに変化がみられなかった.
  • 結論:一次体性感覚野内の皮質内抑制にはGABAAが関与している可能性がある.