新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


7/18 勉強会

【研究報告】

担当:正木

タイトル:施設入所高齢者におけるADLと段差昇段動作中の荷重位下肢筋力との関連

要旨

  • 目的:本研究では,施設入所高齢者におけるADLと段差昇段動作中の荷重位下肢筋力との関連について,非荷重位下肢筋力やその他の運動能力と合わせて検討した.
  • 方法:対象は施設入所高齢者32名とした.ADLはFIMを用いて点数化した.荷重位下肢筋力として,段差型荷重測定機器を用い,15cm段差を1段素早く昇段した時の上段・下段の最大荷重量を測定した.非荷重位下肢筋力として,股・膝関節伸展筋力,足関節底屈筋力,下肢伸展筋力を測定した.バランス能力として,開眼片脚立位時間,FRを測定した.下肢敏捷性として,立位ステッピング回数を測定した.動作能力として,最大歩行速度,TUG,5回立ち座り時間,段差昇段時間を測定した.統計解析では,FIM点数に関連する要因をステップワイズ重回帰分析によって検討した.
  • 結果:FIM点数と有意な関連のある要因として,段差昇段動作中の下段荷重量([β]:0.35),TUG([β]:-0.38)が抽出された.
  • 結論:施設入所高齢者におけるADLには非荷重位下肢筋力や段差昇段時間よりも,段差昇段動作中の荷重位下肢筋力やTUGが関連することが示唆された.

 

【文献抄読】

担当:竹原

タイトル:Acute supramaximal exerciseIncreases the brain oxygenation in relation to cognitive workload

要旨

  • 目的:急性の最大下運動後における認知課題中の脳の血行動態とパフォーマンスの変化を評価すること。
  • 方法:35名の健常成人男性を高パフォーマンス群(HP)低パフォーマンス群(LP)に分類し,最大下運動(wingate test)の前後に認知課題(2-Back test)を施行しその際の前頭前野の酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb),脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb),総ヘモグロビン(total-Hb)と認知課題の反応時間等の結果を計測した。
  • 結果:運動前より運動後の認知課題中の方がoxy-Hb,deoxy-Hb,total-Hbが高値を示し、LPよりもHPの方がoxy-Hb,total-Hbの変化量(運動後―運動前)が高値であった。oxy-Hb,deoxy-Hb,total-Hbが運動時のPeak Powerと有意な相関がみられたが、認知課題テストの結果は運動前と運動後で比較して有意差が認められなかった。
  • 結論:急性の過最大運動後の認知課題中のoxy-Hb, deoxy-Hb, total-Hbは増加するものの認知課題のスコアは改善しない。また、高い身体能力を持つ対象者のHbの変化量は、低い身体能力者と比較して大きい。