新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


6/27 勉強会

【研究報告】

担当:宮口

タイトル:軽負荷反復運動後の運動後抑制が一次運動野の可塑的変化に及ぼす影響

要旨

  • 目的:軽負荷反復運動後の運動後抑制が一次運動野の可塑的変化に及ぼす影響を明らかにすること。
  • 方法:対象は同意の得られた健常成人9-12名であった.一次運動野の興奮性増大を促すために尺骨神経に対し200 Hzの末梢神経電気刺激(ES)を10秒間実施した.運動後抑制を誘発する運動課題は2 Hzの右示指外転運動とし,最大随意収縮の20 %強度にて2分間行った.介入条件は,ES単独条件(条件1)および反復運動後の運動後抑制期間中にESを実施する条件(条件2)とした.介入前後に経頭蓋磁気刺激を用いて左一次運動野領域を刺激し,右第一背側骨間筋から運動誘発電位(MEP)を計測した.磁気刺激強度は1mVのMEPを誘発する強度とした.
  • 結果:条件1において介入直後および介入終了2分後においてMEP振幅の有意な増大が認められた.条件2においては運動課題後に運動後抑制が認められたものの,ES介入後のMEP振幅の増大は認められなかった.
  • 結論:軽負荷反復運動後の運動後抑制は一次運動野の可塑的変化に影響を及ぼす可能性が示唆された.

 

【文献抄読】

担当:玉越

タイトル:Treadmill exercise ameliorates ischemia-induced brain edema while suppressing Na+/H+ exchanger 1 expression

要旨

  • 目的:本研究は脳虚血後のトレッドミル走行が脳浮腫に与える影響について検証した。
  • 方法:中大脳動脈閉塞再潅流モデルラットを作製し,術後2日目から4日目まで低速度・短時間のトレッドミル走行を実施した。機能評価、脳浮腫の程度、組織傷害、血中コルチコステロン濃度、脳浮腫に関わるmRNA発現量を解析し、非運動群と比較検証した。
  • 結果:脳虚血後のトレッドミル走行は脳浮腫が有意に軽減し、機能改善させた。ステロイドホルモンによって脳浮腫は増悪し、コルチコステロンの投与では脳浮腫は軽減した。脳虚血後のトレッドミル走行によってAQP4とNHE1のmRNA発現が抑制された。虚血周囲部のミクログリアやNG2含有グリア細胞においてNHE1の表出が認められた。コルチコステロンはグリア細胞におけるAQP4とNHE1の表出を抑制した。NEH1抑制剤の曝露によってミクログリア細胞の大きさが縮小した。
  • 結論:本研究の結果から、脳虚血後早期の低速度・短時間のトレッドミル走行は血中コルチコステロンを中程度増加させAQP4およびNHE1を抑制することで脳浮腫を軽減させることが分かった。