新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


2/15 勉強会

【研究報告】

担当:中川(弘)

タイトル:伸張性筋収縮の実施回数が筋損傷へ与える影響及び筋線維膜構造の検討

要旨

  • 目的:伸張性筋収縮の反復回数の違いがEvans blue流入を認める筋線維数に及ぼす影響を検討することを目的とした.また,Evans blue流入を認める筋線維における膜構造及び形態を検討した.
  • 方法:8週齢雄性ラット24匹を実験に用いた.それぞれの伸張性筋収縮実施回数により20回群,40回群,60回群ならびに80回群の4群に分けた.前脛骨筋に対し経皮的電気刺激を行い電気刺激誘発性筋収縮により足関節背屈を起こし,この時他動的に足関節を底屈して伸張性筋収縮を行った.伸張性筋収縮実施後24時間後にEvans blueを投与し,48時間後にサンプリングし筋採取した.抗laminin抗体,抗dystrophin抗体を用いて免疫組織化学染色を行い,Evans blue流入を認める筋線維(Evans blue+)及び,流入の見られない筋線維(Evans blue)の面積,直径,真円度を画像解析ソフトにて計測した.
  • 結果:Evans blue+筋線維の個体の各群での割合は,20回群,40回群,60回群,80回群において各々,33.3%,66.7%,85.7%,100%であり,反復回数の増加に伴い漸増した.筋線維横断面積及び直径はEvans blue筋線維と比較してEvans blue+筋線維では有意に(P<0.05)高値を示した.また真円度において,Evans blue+筋線維はEvans blue筋線維より有意に(P<0.05)低値を示し,より真円に近い値を示した.Evans blue+筋線維ではlamininは存在するがdystrophinが発現していない所見が得られた.
  • 結論:伸張性筋収縮の回数増加に伴いEvans blue流入を認める筋線維の割合も増加する傾向がみられた.Evans blue流入を認める筋線維では膨化並びに,真円に近い横断面形状を呈し,dystrophinを欠くことが示された.