新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


1/18 修士課程審査会

【修士課程審査会】

担当:小丹

タイトル:末梢神経電気刺激による筋疲労課題が一次運動野の興奮性に与える影響

要旨

  • 目的:中枢性疲労の現象のひとつに,随意運動による筋疲労後には一時的な運動誘発電位 (MEP)の減少が認められる.この現象はPost-exercise depression (PED)と呼ばれ,一次運動野の興奮性低下により生じることが報告されている.しかし,その機序については未だ不明な点が多いのが現状である.
  • 目的:本研究では,末梢神経電気刺激により筋疲労を引き起こし,筋疲労からの求心性入力が一次運動野の興奮性に与える影響について明らかにすることを目的とした.
  • 方法:課題は母指の対立課題とし,右正中神経に対して電気刺激を行い,最大随意収縮の10%強度で10分間の刺激を施行した.皮質脊髄路の興奮性評価には,経頭蓋磁気刺激装置を用いて右短母指外転筋よりMEPを計測した.また電気刺激装置を用いて,脊髄の興奮性評価としてF波,末梢の興奮性評価としてM波の計測を行った.
  • 結果:末梢神経電気刺激による筋疲労後にはMEPの有意な減少を認めた.一方で,F波およびM波には有意な変化を認めなかった.
  • 考察:本研究より,末梢神経電気刺激による筋疲労後には一次運動野の興奮性が低下することが明らかとなった.そして,その要因には疲労筋からの求心性入力の関与が示唆された.これは随意運動による筋疲労後に生じる一次運動野の興奮性低下においても同様な機序が関与していることが考えられ,随意運動後に生じるPEDメカニズムの解明の一助になりえると考える.