新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


9/14 勉強会

【研究報告】

担当:佐藤

タイトル:The role of interneurons in sequence motor skill learning

要旨

  • 目的:個人間に生じるI-wave recruitmentの違いが、非侵襲的脳刺激によって誘導される一次運動野の可塑性に影響することが報告されている。本研究では、連続的運動学習によって生じる可塑性、学習量および学習記憶にI-wave recruitmentが及ぼす影響を検証した。
  • 方法:成人男女を対象に、TMS latency methodを用いてI-wave recruitmentを測定した後、連続的運動学習としてserial reaction time taskを実施した。実験1では、学習前後にsingle pulse TMSによるMEPを測定し、皮質脊髄路興奮性の変化を検証した。実験2では、SRTTのTESTを行い、運動学習による定着を調査した。その他、学習中の学習量については、学習初期および後期の学習量をfast learningおよびslow learningと定義して算出した。
  • 結果:I-wave recruitmentのされやすい被験者ほど、学習量が増加、MEPが増大、学習30分後の定着が良くなる傾向が認められた。
  • 結論:I-wave recruitmentが連続的運動学習によって生じる可塑性やその学習効果に影響する可能性が示された。今後、被験者数を増やし、エビデンスレベルを高める予定である。

 

【文献抄読】

担当:小丹

タイトル:The use of F-response in defining interstimulus intervals appropriate for LTP-like plasticity induction in lower limb spinal paired associative stimulation

要旨

  • 目的:本研究の目的は, Spinal Paired associative stimulation(Spinal-PAS)の刺激間隔(ISI)を,F波を用いて決定することである.
  • 方法:Spinal-PASは,磁気刺激を一次運動野下肢領域,末梢神経電気刺激をa)脛骨神経, b)腓骨神経, C)大腿神経に対してそれぞれ行った.Spinal-PASのISIを決定するため,被験者ごとにF波の潜時よりMEPの潜時の差を計算した.ISIは,脊髄においてシナプス前ニューロンとシナプス後ニューロンが同時に刺激されるISIとした.
  • 結果:全条件においてSpinal-PAS後にMEP振幅は有意な増大を認めた.
  • 考察:Spinal-PASを行う上でISIはシナプスの可塑性を誘導するための重要な要素である.特にLong term potentiationを誘発するには,シナプス前ニューロンがシナプス後ニューロンより先行して刺激される,または同時に刺激を受けることが必要である.本研究ではF波を用いて,シナプス前ニューロンとシナプス後ニューロンが脊髄で衝突するISIを算出したことで,LTPが誘導されたと考える.
  • 結論:Spinal-PASのISIを決定する際,F波を用いてISIを算出することは,より効果的なシナプスの可塑性を誘導することが可能である.