新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


8/3 勉強会

【研究報告】

担当:高林

タイトル:Toe out 角度の増加が階段降段動作時における膝関節回旋角度に与える影響

要旨

  • 目的:本研究は通常の階段降段動作とToe out角度を増加させた階段降段動作の膝関節回旋角度に与える影響を検証した.
  • 方法:対象は健常成人男性3名とした.対象者はバリアフリー新法に基づいて設計された階段上で通常の階段降段動作とToe out角度を増加させた階段降段動作を快適速度にて実施した.解析区間は立脚期とし,ポイントクラスター法と呼ばれる手法を用いて膝関節回旋角度を評価した.
  • 結果:本研究の主要な結果として,Toe out降段動作は通常降段動作と比較して立脚期を通して膝内旋角度が減少していた.
  • 結論:変形性膝関節症は過剰な膝内旋が病期進行に関与し,さらにACL損傷者においても過剰な膝内旋が変形性膝関節症発症の危険因子になることが報告されている.本研究において,Toe out降段動作は変形性膝関節症やACL損傷者に有用な降段方法である可能性が示唆された.
  • 今後:さらなる被験者数の増加と,力学的負担の指標である関節モーメントも検証していく予定である

 

【文献抄読】

担当:横山

タイトル:Effect of Anterior Capsular Laxity on Horizontal Abduction and Forceful Internal Impingement in a Cadaveric Model of the Throwing Shoulder

要旨

  • 目的:繰り返しの投球動作(レイトコッキング期)での前方関節包の緩みによる,肩関節水平外転角度と関節内インピンジメントの効果を評価すること.
  • 方法:8体の冷凍死体の肩を用いた.投球(レイトコッキング期)のシミュレーションとして,肩関節外転90度で最大外旋方向の外部トルクを加えて関節包を緩ませた状態のモデルとを作成した.また肩関節水平外転角度,外旋角度,前方方向の平行移動,回旋筋腱板(棘上筋,棘下筋)の付着部の位置,関節窩間の接触圧と接触領域を測定し,関節内インピンジメントを測定した.全てのデータは無傷な状態と,関節包を緩ませた状態のモデルとの比較であった.
  • 結果:棘上筋腱の後方半分と棘下筋全体の付着部位置より,大粗面と関節窩の間で衝突が認められた. 最大水平外転は関節包が緩んだモデルが2.2%上昇,接触圧が27.3%上昇した.
  • 結論:過度な関節包の緩みは,肩関節水平外転角度,接触圧を上昇させた.また,,大粗面と関節窩の間で衝突が認められた.