新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


6/1 第50回日本理学療法学術大会予演会(2)

【第50回日本理学療法学術大会予演会】

担当:大西

タイトル:単発条件刺激が体性感覚誘発磁界に及ぼす影響

要旨

  • 目的:単発条件刺激の刺激強度がその直後に与えられる試験刺激によって誘発される体性感覚誘発磁界(SEF)に与える影響を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:健常成人15名を対象に右正中神経刺激によるSEFを計測した.試験刺激は約5秒に1回の頻度で与え,条件刺激は試験刺激の約500 ms前に右正中神経に与えた.条件刺激の刺激強度は,70%運動閾値(MT),90%MT,110%MTの3種類を設定した.
  • 結果:N20m,P35m,P60mのいずれのピーク潜時も条件間で有意な差は認められなかった.一方,振幅値を比較すると,N20mは条件間で有意な差は認められなかったが,P35mおよびP60mは90%MT条件および110%MT条件ではコントロール条件と比較して有意に小さな値を示した.
  • 考察:SEFのP35mおよびP60m成分は試験刺激直前に与えられた条件刺激の刺激強度に影響され変動することが明らかになった.

 

担当:椿

タイトル:運動強度の違いが定常負荷での自転車エルゴメータ駆動中の頭部酸素化ヘモグロビン変動に及ぼす影響

要旨

  • 目的:定常負荷での動的運動における運動強度の違いがO2Hb変動に及ぼす影響を明らかにすること。
  • 方法:最高酸素摂取量の30%および50%の負荷量で20分間の自転車エルゴメータ駆動を行い,酸素化ヘモグロビンの変化を,前補足運動野,補足運動野,感覚運動皮質で計測した.
  • 結果:感覚運動皮質でのみ50%が有意に高値であった.
  • まとめ:20分間の自転車エルゴメータ駆動での負荷量の違いは,感覚運動皮質の酸素化ヘモグロビンの増加に反映される.

 

担当:齊藤

タイトル:末梢電気刺激が随意運動によって生じる皮質脊髄路の興奮性変化に及ぼす影響−等尺性収縮による検討−

要旨

  • 目的:末梢電気刺激が力制御課題と角度制御課題に伴う皮質脊髄路の興奮性変化に及ぼす影響を検討すること.
  • 方法:対象は健常成人6名.等尺性収縮は母指と示指のピンチ動作とし,力制御課題と角度制御課題の2条件とした.末梢電気刺激は手関節部にて正中神経に与え,刺激強度は運動閾値上と感覚閾値上の2条件とした.皮質脊髄路の興奮性評価は経頭蓋磁気刺激法を用いて,課題前後に運動誘発電位を記録・比較した.
  • 結果:力制御課題においてのみ,運動閾値上の電気刺激と組み合わせることで運動誘発電位の有意な増大を示した.
  • 結論:末梢電気刺激が等尺性収縮に及ぼす影響は力制御課題と角度制御課題で異なることが示唆された.

 

担当:小丹

タイトル:短時間末梢神経電気刺激が皮質脊髄路の興奮性に与える影響

要旨

  • 目的:本研究は皮質脊髄路の可塑的変化誘導法を検討するため,5秒間の末梢神経電気刺激が皮質脊髄路の興奮性に与える影響について明らかにすることを目的とした.
  • 方法:対象は健常成人15名であった.介入として右尺骨神経に対して110 %運動閾値強度で50 Hzまたは200 Hzの電気刺激をそれぞれ5秒間与えた.皮質脊髄路の興奮性の評価には経頭蓋磁気刺激によって得られる運動誘発電位(MEP)を用い,右第一背側骨間筋より導出した.介入60秒前から介入終了120秒後までを計測,解析した.
  • 結果:200 Hz条件では,介入前に対して介入後にMEP振幅の有意な増大を認め,その増大は約90秒間持続した.一方で50 Hz条件では,介入前後でMEP振幅に有意な変化は認められなかった.
  • 結論:本研究より,高頻度・短時間の末梢神経電気刺激により,皮質脊髄路の興奮性は増大する可能性が示唆された.