新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


5/11 勉強会

【研究報告】

担当:高林

タイトル:走行と歩行の動作様式の違いが足部セグメント間の運動連鎖に与える影響

要旨

  • 目的:本研究は,走行と歩行の動作様式の違いが後足部・中足部・前足部間の運動連鎖に与える影響について検証した.
  • 方法:健常成人男性10名を対象に,走行と歩行の2条件の課題動作を実施した.3DFoot modelにて算出された後足部,中足部,前足部のセグメント角度(底背屈,回内外,内外転)に対し,相互相関係数を用いて運動連鎖の強さと運動連鎖として生じる時間的ズレを評価した.
  • 結果:走行時における後足部回内/回外と中足部底屈/背屈間の運動連鎖は,歩行と比較して強い運動連鎖が生じていた.また,この運動連鎖関係は後足部から中足部への下行性の運動連鎖であり,時間的なズレが生じていた.
  • 結論:走行と歩行における動作様式の違いは,足部セグメント間の運動連鎖関係に影響をおよぼすことが示唆された.

 

【文献抄読】

担当:玉越

タイトル:Forced limb-use enhanced neurogenesis and behavioral recovery after stroke in the aged rats.

要旨

  • 目的:本研究は,老齢ラットを用いて脳梗塞後のCIMTが細胞増殖および機能回復に与える影響について検討した.
  • 方法:エンドセリン-1注入法を用いて脳梗塞モデルラットを作製した.実験群は,SHAM群,脳梗塞群(非運動),脳梗塞+CIMT群とした.CIMTは,脳梗塞後7日目~28日目まで実施した.機能評価としてBeam Walking testを行った.組織学的評価として,BrdU(細胞増殖マーカー),Iba-1(ミクログリアマーカー),GFAP(アストロサイトマーカー),NeuN(成熟ニューロンマーカー), DCX(未熟ニューロンマーカー),TUNEL(アポトーシスマーカー)の免疫組織化学染色を行った.
  • 結果:脳梗塞後,脳室下帯における未熟ニューロンの増加が増加した.CIMTは,未熟ニューロンの増殖促進と長期生存効果があることが分かった.さらに,CIMTはアポトーシスの抑制効果があることが分かった.しかし,CIMTは,グリア細胞に対する影響は示さなかった.また,海馬における未熟ニューロンの数と樹状突起の形態変化への影響もなかった.
  • 結論:本研究は,高齢ラットにおいても脳梗塞後のCIMTは,機能回復および神経新生を促進する効果があることを明らかにした.