新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


10/6 勉強会

【研究報告】

担当:玉越

タイトル:脳出血後のスキルトレーニングが運動機能回復および中枢神経系に与える影響

要旨

  • 目的:本研究は脳出血後のスキルトレーニングが運動機能回復および中枢神経系に及ぼす影響について検討した。
  • 方法:コラゲナーゼ注入法により左線条体出血ラットを作製した。脳出血後に運動しない群とスキルトレーニングを行う群を設定した。スキルトレーニングを行う群には、脳出血後4日目から28日目までアクロバティック課題を実施した。前肢の感覚運機能を経時的に評価した。トレーニング終了後に脳を採取し、リアルタイムPCR法を用いてAMPA受容体サブユニットのmRNA発現量を解析した。
  • 結果:脳出血後にスキルトレーニングを行った群は前肢の感覚運動機能を有意に改善させ、傷害側感覚運動野のAMPA受容体サブユニットのmRNA発現量を有意に増加させた。
  • 結論:脳出血後のスキルトレーニングによる前肢感覚運動機能回復は、傷害側のAMPA受容体が関与していると考えられる。

 

【文献抄読】

担当:松本

タイトル:Nonparetic arm force does not overinhibit the paretic arm in chronic poststroke hemiparesis

要旨

  • 目的:慢性期脳卒中患者において,非麻痺側上肢の運動により麻痺側上肢機能が抑制されるか否かを検証すること.
  • 方法:86名の内,実験基準を満たした9名の脳卒中患者と8名の健常成人を対象とした.手関節屈曲運動を課題とし,脳卒中患者は麻痺側と非麻痺側で,健常成人は利き手でそれぞれ課題を行った.課題中に運動肢と同側一次運動野(M1)に経頭蓋磁気刺激(TMS)を与え,安静肢から運動誘発電位を導出した.また,二連発TMSを用い,運動肢と対側M1から同側M1への半球間抑制(IHI)を評価した.
  • 結果:脳卒中患者では,非麻痺側肢で課題を行った場合と比較し,麻痺側肢で課題を行った時に安静肢皮質脊髄路の興奮性が増大し,また運動肢と対側M1から同側M1へのIHIが増大した.健常者では,脳卒中患者が非麻痺側肢で課題を行った場合と比較し,安静肢皮質脊髄路の興奮性が増大し,また運動肢と対側M1から同側M1へのIHIが増大した.
  • 考察:慢性期脳卒中患者において,非麻痺側上肢の運動により麻痺側上肢の機能は抑制されないことが示唆された.