新潟医療福祉大学 運動機能医科学研究所


1/6 勉強会

【研究報告】

担当:菅原

タイトル:The effect of anodal transcranial direct current stimulation over the primary motor or somatosensory cortices on somatosensory evoked magnetic fields

要旨

  • 目的:脳磁図を用いて一次運動野(M1)または一次体性感覚野(S1)へAnodal tDCSが体性感覚誘発磁場(SEF)に及ぼす影響を明らかにする.
  • 方法:被験者は健常成人18名,SEFの計測は右正中神経への電気刺激とした.Experimental1では左M1上にAnodal tDCSを1mAの強度で15分間貼付し,Experimental2では左S1上にAnodal tDCSを1mAの強度で15分間貼付した.
  • 結果:Exp1,Exp2ともにSEF波形の各コンポーネント(N20m,P35m,P60m)のPeak潜時に有意な変化は見られなかった.電流強度においては,Exp1ではN20mは変化が見られないものの,P35mおよびP60mの増強が認められた.一方,Exp2ではN20mとP35mに変化は認められないものの,P60mにおいてのみ増強が認められた.
  • 考察:M1上にAnodal tDCSを貼付した際には,M1の前方にある運動前野(PMA)も含めて刺激したために,P35mのみならずM1・PMAとconnectivityを持つ1・2野の活動が増強し,P60mの電流強度の向上が認められたと考えられる.
    S1上にAnodal tDCSを貼付した際には,直接1・2野を刺激したためにP60mの電流強度の増強が認められたと考えられる.

 

【文献抄読】

担当:齊藤

タイトル:Interaction between simultaneously applied neuromodulatory interventions in humans

要旨

  • 目的:tDCSと電気刺激の同時実施が皮質脊髄路の興奮性に及ぼす影響を経頭蓋磁気刺激法を用いて検討すること.
  • 方法:対象は健常成人21名とした.tDCSは一方の電極を左一次運動野領域に,もう一方の電極を右の眼窩上に貼付した.刺激強度は1mAとした.電気刺激は右短母指外転筋筋腹上にて,母指最大外転位の50%の動きを誘発する強度で与えた.パルス幅は0.2ms,刺激サイクルは4秒on-6秒offとした.評価として経頭蓋磁気刺激法を用いて右短母指外転筋の運動誘発電位(MEP)を導出した.実験1として①anodal tDCS+電気刺激,②anodal tDCS,③電気刺激のみ,④sham刺激の4課題を実施し,課題2として①cathodal tDCS+電気刺激,②cathodal tDCSのみの2課題を実施した.MEPの測定は課題前と課題直後,課題10分後に実施し,それぞれ12波形×3回(合計36波形)を計測した.
  • 結果:anodal tDCS,cathodal tDCS,電気刺激は過去の報告と同様の結果が得られた.一方,anodal tDCS+電気刺激では有意なMEPの変化は得られなかった.また,cathodal tDCS+電気刺激では有意なMEP減少が見られた.
  • 結論:tDCSと電気刺激を併用することで,相乗効果と競合効果のどちらかが得られるが,その背景メカニズムは依然として不明である.