伝統と革新で紡ぐ150年。 ― さらなる挑戦を続けるホテルイタリア軒 | NSGグループ

伝統と革新で紡ぐ150年。 ― さらなる挑戦を続けるホテルイタリア軒

2024.10.11 Fri

新潟市の老舗ホテルとして、長年にわたり地域の皆さまよりご愛顧いただいているホテルイタリア軒。明治から今日まで、社会の変遷に対応しながら、伝統を守りながらも、革新を繰り返し、今年創業150周年を迎えました。

改めてどのような歴史を歩んできたのか、近年の取り組みやチャレンジ、さらには150周年を迎えた今後の展望などについて、株式会社イタリア軒 取締役総支配人 髙野 潤さんに伺いました。

ホテルイタリア軒の高野総支配人

 

イタリア人コックが本場の味を提供する西洋料理店として、新潟の地に開業。

—  改めてホテルイタリア軒の特徴をご説明いただけますでしょうか

髙野 ホテルイタリア軒は、元々西洋料理店としてスタートいたしました。その歴史を踏まえ、現在では都市型オーベルジュ(宿泊できるレストラン)をコンセプトに掲げています。創業150周年を迎えた今年、創業当初の精神に立ち返り、食を軸とした魅力をさらに深めることで、ホテル全体の魅力をより一層強化していきたいと考えています。

 

—  歴史についてもう少し詳しく教えていただけますか。

髙野 1874年(明治7年)、イタリア人コックのピエトロ・ミオラ氏が新潟で暮らしていくことを決意し、牛肉店を開業。後に新潟初の西洋料理店「イタリヤ軒(当時の呼称)」を開店しました。当時は西洋文化が花開き、新潟は 開港都市として栄えていました。その中心である古町で営業を続け、地元の方々からご愛顧を賜り、現在に至ります。この150年間の歴史の中で、特に西洋料理店として開業したというエピソードは他のホテルにはない特徴です。

 

—  ホテルイタリア軒として、宿泊事業に参入されたのはいつでしょうか

髙野 宿泊事業に本格的に参入したのは1976年(昭和51年)です。それ以前は、屋上でビアガーデンを運営したり、2階に宴会場があったりと、レストラン以外の事業も行っていました。また、ビリヤード場やゴルフ練習場、ダンスホールなども併設され、新潟の政財界の人々が集まる社交場としての役割も担っていました。当時は「新潟の鹿鳴館」とも称され、格式の高い場所として知られていたようです。

ホテルイタリア軒の歴代の外観

 

新潟市の中心地・古町と共に歩み続けてきた老舗ホテル。

—  歴史あるホテルとして、印象に残っている事を教えてください。

髙野 特に印象深いのはご婚礼です。ホテルイタリア軒では、長年にわたり数多くの結婚式を執り行わせていただきました。親御様が当ホテルで挙式され、お子様も当ホテルで結婚式を挙げていただいたという話をよく耳にします。また、結婚記念日をはじめとした“ハレの日”にご利用いただいており、皆さまの人生と共にあるホテルであることを改めて感じています。

会員制のビリヤード場(左上)、戦前のダンスパーティーの様子(右上) 創業者のピエトロ・ミオラ(左下)、イタリア軒の歴史について語る、高野取締役総支配人(右下)
会員制のビリヤード場(左上)、戦前のダンスパーティーの様子(右上) 創業者のピエトロ・ミオラ(左下)、イタリア軒の歴史について語る、高野取締役総支配人(右下)

 

—  古町は昔から花街として知られていますが、芸妓さんとのつながりはありますか。

髙野 ホテルイタリア軒は、開業当初から芸妓文化と深く結びついており、旧館のロビーには古町芸妓の写真が飾られていたほどです。これはホテルイタリア軒が創業当時より新潟の社交の場としての役割を果たし、また、歴史と伝統が息づく古町に位置していたためです。観光にも便利なロケーションで、徒歩圏内には新潟市美術館やNSG美術館、旧齋藤邸別邸など文化施設も点在し、散策しながら地域の芸術や歴史を楽しんでいただくことができます。

 

伝統+革新。食の新しい風をお客様に提供

—  近年の新しい取り組みについて教えてください。

髙野 創業当時より作り続けているミートソースやデミグラスソースなど、歴代のシェフたちが受け続いできたレシピは、今もなお大切に守り続けられています。しかし、それだけではありません。若手シェフを積極的に登用し、食に新たな風を吹き込んでいます。30歳代の若手シェフが陣頭指揮をとる洋食レストラン「マルコポーロ」では、伝統的な技術を活かしながらも、現代的なアプローチを取り入れた料理を提供しています。

ホテルイタリア軒の伝統の味として知られるミートソースやデミグラスソース

 

—  150周年を迎えるにあたり、特に力を入れている取り組みについて教えてください。

髙野 冒頭でも申し上げた通り、食を中心とした「オーベルジュ」としての再構築に力を入れています。その一環として提供する「至高の饗宴」では、西洋料理、日本料理、中国料理をご堪能いただける、特別コースをご用意しており、この料理を目当てに県内外からお客様がお越しくださっています。また、厳選した旬の食材をふんだんに使用し、2か月ごとにメニューを刷新して、季節感を存分に楽しんでいただけるよう工夫しています。

 

—  そのほか150周年に関連した商品やメニューについて教えてください。

髙野 イタリア軒のミートソースは開業時から、イタリア軒を代表する料理として多くの皆様にご愛顧いただいています。また、同じく長年ご支持いただいているのが、西洋料理の神髄ともいわれるデミグラスソースを使ったハヤシライスです。この味を多くの方々に味わっていただきたいという想いで、レトルト食品「イタリア軒ミートソース物語」「イタリア軒ハヤシライス物語」を発売しました。この商品は、レトロなパッケージで展開され、全国に向けて販売されています。また、洋食レストラン「マルコポーロ」では、アフタヌーンティーの提供を始めており、季節ごとの食材を使用したデザートをお楽しみいただけます。

 

ハード・ソフト面を充実させ、お客様の快適性や利便性の向上を図る。

—  2023年に全客室の改修工事が完了されたとのことですが、その内容や狙いは。

髙野 客室とバスルームをすべてリニューアルし、快適さを格段に向上させました。特にエグゼクティブタイプの客室では、調度品やアメニティの細部にまでこだわり、お客様に心地よく、特別感のある滞在を提供できるように工夫を凝らしています。また、150周年を迎えるにあたり、新たなスイートルームの建設も進んでいます。グランスイートやプレミアムスイートといったラグジュアリーな空間をお客様に提供する予定です。

 

—  お客様情報の管理やオペレーションの新しい取り組みがあれば教えてください

髙野 近年、お客様情報の管理システムを導入し、さらなるサービス向上を図っております。このシステムにより、レストランのご予約やお客様のご利用履歴を一元的に管理できるようになりました。例えば、以前「割烹 螢」をご利用いただいたお客様が、次回「中国料理 SHI-EN(シーエン)」を利用される際に、お好みやアレルギー情報などが共有され、きめ細やかなサービスの提供が可能になりました。改修が完了したホテルイタリア軒のエグゼクティブツインルームと「至高の饗宴」フルコース画像

 

150周年から新たな未来へ ー 挑戦と進化を続けるイタリア軒

—  150周年を記念して、小説を発刊するそうですね。

髙野 はい、150周年を記念して「小説 イタリア軒物語」を発刊します。この小説は、イタリア軒の創業者であるイタリア人「ピエトロ・ミオラ」を主人公にしています。明治の新潟に魅了されたミオラの、西洋料理店創業物語です。イタリアからやってきたミオラが、なぜ新潟で料理店を始めたのか、そして、ミオラを魅了した明治初期の新潟はどんな町だったのか、彼がどんな想いを抱いていたのかーー。また、小説をとおして、彼の想いが今のイタリア軒に受け継がれていることも感じていただけるのではないかと思います。ぜひ多くの方に楽しんでいただきたいです。

 

—  改めてホテルイタリア軒の最大の魅力とは何ですか。

髙野 最大の魅力は、「食」をはじめとする多彩な体験をお愉しみいただける点です。イタリア軒では、創業者ピエトロ・ミオラの「食を通じて人々を幸せにする」という思いを受け継ぎ、150年にわたって伝統の味を守ると共に、時々の人々の嗜好の変化に合わせて革新を続けてきました。また、新潟の豊かな文化や歴史と共に歩みながら、地域に根差したホテルとして進化を目指しています。これからも、お客様に新しい感動と体験を提供し、愛され続ける存在でありたいと考えています。

 

—  最後に一般のお客様に向けたメッセージをお願いします。

髙野 当ホテルは古町の中心にあり、地域に根ざした歴史と文化を感じながら、新潟の食を楽しんでいただける場所です。ぜひ、街歩きや観光のひとときに、ホテルイタリア軒をご利用いただき、特別な食と宿泊体験を存分にご堪能いただければと思います。

 

 

株式会社イタリア軒

 

新潟初の本格西洋料理レストラン「イタリア軒」をルーツに持つホテルです。新潟の洋食文化発祥の地として、新潟市民に親しまれ、150年の歴史があります。現在は、西洋料理、中国料理、日本料理、寿司の4つのレストランを併設。伝統の味を守りつつ、新潟の食材を活かした時代に合わせた新しいメニューもご提供しています。客室はシングルからグランスイートまで多彩。また、約500人が入る大宴会場、12階から新潟市内を見渡せる華やかなスカイバンケット、モダンクラシックな格式が高い中宴会場や、ミーティングにぴったりの会議室専用スペースまで、人数や会の内容にあわせて大、中、小宴会場をご用意しています

 

新潟市中央区西堀通七番町1574番地

TEL:025-224-5111 / FAX:025-224-7679

 

https://www.italiaken.com

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