太陽有限責任監査法人 | ノックス株式会社
太陽有限責任監査法人様

法人として徹底的に「問う」姿勢から導き出される「答え」とは
挑戦的なデジタルイノベーションを支える確かなデータ保護の形【前編】

太陽有限責任監査法人 様

「会計監査」は公認会計士の独占業務である。組織としてこの業務を行う「監査法人」は、厳しく設けられた法令や基準を遵守しながら、日本経済の信頼性を保つという重要な役割を担い続けている。

太陽有限責任監査法人(以下、太陽監査法人)は1971年の設立以来、公共財の提供者として資本市場を守るべく、深度ある監査によって様々な規模・業界のクライアントの信頼に応えてきた。

あらゆる業種・業界で急速にデジタル化が進む中、監査業務においても変革が求められている。

大手と中小の長所を兼ね備えたミッドサイズファームとして異彩を放つ太陽監査法人の独自性は、ITという分野においてどのように発揮されているのだろうか。

チャレンジできる環境にたどり着くまで

太陽監査法人 デジタルイノベーション室のミッションは多岐にわたる。副室長であるゼネラルマネジャー 岸本 芳和 氏は「国内12拠点においてITに関連するものは全て私たちのチームで運用管理しています。」と話す。複合機やIP電話といったものから、今回導入した大規模なファイルサーバの運用管理まで、その対応範囲はかなり広いと言える。
「通電するものは全部、かもしれないですね。」と話すのは、同室のマネジャーである情報システム技術担当の増木 一彦 氏だ。

他業界で長年にわたりITインフラの構築や運用の経験を積んだという、少し変わった経歴を持つこの2名は、組織における改革をデジタルの面から推進している。

「この業界は扱っている情報の機密性が非常に高いこともあり、IT化に関してはこれまで保守的にならざるを得ない部分もあったと思います。監査業務で使うPCなどは、あらゆるリスクを考慮しすぎて何重ものセキュリティ対策が施され、トラブルがあっても切り分けに時間がかかる程でした。」(増木氏)

越えるべきハードルは多かったと言うが、現在はかなり挑戦的な提案もできているという。

「運用目線で話せる増木とは徹底的に意見交換します。どんなに素晴らしい製品でも運用できなければ意味がない。数年先にどうなっているかを常に意識しながら、最適だとお互いが納得できる段階まで何度でも検討を重ねます。」(岸本氏)

あらゆる方面から情報を集め、確かめ、先進的な取り組みを続けた姿勢は、前代未聞の状況下でその真価が発揮されることになる。コロナ禍でのリモートワークだ。

「以前から在宅勤務の可能性を検討して準備を進めていたので、セキュリティを担保したリモートワークを迅速に実現できました。緊急時でも問題なく機能したことが、組織内での我々の今の評価に繋がっていると思います。」(岸本氏)

デジタルイノベーション室 副室長
ゼネラルマネジャー
岸本 芳和 氏

「課題解決」に追加された「基盤の強化」

太陽監査法人は、国際会計事務所ネットワーク”Grant Thornton International Ltd”のメンバーファームとして、サイバー攻撃を想定した情報漏えい対策にもかなり積極的に取り組んでいる。2023年、ファイルサーバのリプレイス時期を迎えた同法人は、増加し続けるデータ容量への対応という課題に加えて、ランサムウェア対策の強化、事業継続を目的としたDR(Disaster Recovery:災害対策)環境の構築という、結果的に3つの要件を定義することになる。

「既存ベンダーの製品を採用すれば安定して運用できると分かっていました。しかし要件が増えたことで専用サーバやスイッチが追加されて一気に複雑な構成になり、運用負荷が増えてしまう面で悩ましいと感じていました。」と語る増木氏は、こう続ける。「新しい技術に対しての不安はもちろんあります。最終的にファイルサーバとしてVAST Data、バックアップとランサムウェア対策としてRubrikの製品を組み合わせたのは、求めていた要件を非常にシンプルな構成で実現できるという強みがあったからです。」

VAST Dataはオールフラッシュのスケールアウトストレージとして注目されている。画期的なアーキテクチャーで高い重複排除率を実現し、増え続けるデータ容量にも問題なく対応できる。ライセンスの追加で容量を増やせるので機器の増設も不要だ。Rubrikはバックアップだけでなくランサムウェア対策機能においても高い評価を得ており、洗練された管理画面で直感的に操作できるため、万が一感染してしまった際にも素早く復旧できる。

解決すべき問題をきっかけに、より強固なビジネス基盤の構築に着手したのだ。

デジタルイノベーション室
マネジャー 情報システム技術担当
増木 一彦 氏

「本当に検討を尽くしたか」を問い続ける

これまで紙媒体だった資料や調書が電子化され、データは年を追って増え続けている。業務効率化のためシステムの開発やクラウドの活用も視野に入れると、目先の課題だけではなく何年も先の状況を考慮しなければならない。

ITインフラを構築し、組織のニーズに応えながら運用していくにあたって、どのようにソリューションを選定しているのだろうか。

「監査法人ですので、とにかくあらゆる面で徹底的に調査し、比較・検討します。メーカーやベンダーの力を借りながら自分たちでも情報を集めて数値化し、エビデンスを揃えて膨大な情報を基に審議を重ねています。だからこそ選定後に大きなトラブルもなく進められるので、大変ですが必要なプロセスなのです。」(岸本氏)

メンバーファームに求められるセキュリティ基準をクリアしながら、新しい技術も積極的に組み込んでいく。今回の導入の決め手はそういったデータや数値化されたものだけではない。

「提案いただいたTIS(TIS株式会社)は、これまでの実績から信頼できる関係を築けています。そのTISからの紹介が検討のきっかけです。VAST DataとRubrikを販売するノックス(ノックス株式会社)は、初めて支援いただくのですが、本社にある検証環境で説明を受けるうちに、高い技術力だけではなく長期的にサポートをお願いできる体制があると実感できたことが内部提案する後押しになりました。」(岸本氏)

「想定外」に期待すること

喫緊の課題解決や数年先を想定した拡張性を踏まえ、きちんと内部で運用可能な基盤が構築されたのは、妥協も慢心もなく検討を重ねた結果である。そこに「想定外」の状況が発生する可能性はあるのだろうか。

現在、2024年末の稼働をターゲットに移行作業が進められており、実際にどの程度のデータ容量が確保できるのか、万が一の事態にいかに迅速に事業復旧・継続できるかといった導入効果が見えてくるのは少し先の話になる。

「ただ、現時点で予想よりずっとデータの圧縮ができそうだと感じています。当初は考えていなかった他のシステムのバックアップデータもこちらに移行して統合できそうだなと考えているところです。」(岸本氏)

「ファイルサーバに余裕ができることで、業務効率化の開発をサポートできます。チャレンジできる環境を提供できることは組織にとって大きなメリットになると感じています。」(増木氏)

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