お墓参りの作法も大事ですが、亡くなった方々の菩提を弔い供養し冥福を祈るとともに、家族が無事に暮らしていることを報告したり、大切な方と語らうことに本当の意味があるのではないでしょうか。
心をこめてお墓をきれいに掃除し、感謝を込めて手を合わせ、ご先祖様や大切な方と語り合う事がお墓参りの意味ではないでしょうか。
お墓参りは亡くなった方の供養でありますが、大切な方と対話し、最近の日常をご報告し、悩みを相談することは自身の心の整理にもつながります。
本サイトでは一般的なお墓参りについてご紹介しております。
宗派や地域によっては作法、お供え物などが異なる場合がありますので、ご住職、ご親戚、ご近所の方などに確認しながら、宗派、地域に沿ったでお墓参りをされることが望ましいですが、各ご家庭で受け継いできたやり方でお墓参りをされると良いでしょう。
お墓参りでは、一般的には、明かりを灯し、線香を上げ、花や供物を供え、故人と語り合う、冥福を祈ることが基本です。
お供えする水、お線香、お花、飲食、ローソクを一般的に五供(ごく)と言います。
水、お線香、お花、飲食、ローソクは、それぞれが彼岸行である六波羅蜜(ろくはらみつ)を象徴しているとされています。
そのため、お墓参りをするということは、六波羅蜜の行を実践していることに繋がっているとされています。
仏教では、神仏に供える水を閼伽(あか)または閼伽水とも言います。閼伽は価値ある物を意味します。そのためお供え物全般そしてお供物を盛る容器も閼伽と呼ばれることがあります。
水は、仏様の飲み水として乾きを癒やすために必ず供えられるものであるため、お供えの水を閼伽または閼伽水と呼ぶようになりました。
水は高いところから低いところに向かって何ものをも拒むことなく流れていきます。何の見返りも期待せず惜しみなく無償の思いやりの気持ちでお金や品物を施す六波羅蜜の「布施」を象徴しているとされています。
香は、香りで空間を清めると同時に、自身の心を落ち着けてくれます。身心を清め戒律を守ることの大切さを学ぶ行為になぞらえて六波羅蜜の精進(しょうじん)の象徴であるとされています。
また火がつくと消えることなく最後まで燃え尽きるお線香は、真実の道をたゆまず実践していく六波羅蜜の持戒(じかい)の象徴と言われています。
お線香をお供えすることは、香煙を通じて仏様とお話することであるとも言われていますし、線香の香りは煙りと共には隅々まで行き渡るところから仏様の慈悲が分け隔て無く与えられる事を表していると言われています。
墓前に花を飾ることを華鬘(けまん)といいます。
花の中でも仏教と関係の深い蓮は、泥から美しい姿を表し自然の花は美しく、人の心を鎮め、心の邪悪を取り除き清めてくれます。
花を供えると言うことは、悲しみや苦しみに負けることなく怒りや焦りなどを制して常に明るい笑顔を持ち続けるという六波羅蜜における「忍辱」を実践するという意味が込められています。
お釈迦様が断食行でやせ細ってしまったのを見た村の娘がお食事を差し上げたると精気を回復し再び深い禅定(ぜんじょう)に入り悟りを開かれました。
食事をとると心が落ち着き、精神が安定し禅定の状態へと導いてくれます。
このことから飯食が六波羅蜜の禅定の象徴となりました。
灯りは闇を照らし全てを明るくしてくれます。そのため仏様の智恵が迷いを除き悟りへと導くことにたとえられます。
そのため灯りは六波羅蜜の智恵(ちえ)に繋がるとされています。
灯りは、周りを明るく照らすだけでなく、仏様の智恵の輝きでありそれを称えるという意味があります。
寺院内の墓地の場合、本堂のご本尊に手を合わせ、
ご住職様にご挨拶された方が良いでしょう。
合掌をしご先祖様、故人様に来たことをご報告、ご挨拶します。
掃除道具や手荷物などを、近隣の墓所の敷地内に置かないようにしましょう。
先に墓石を洗うと墓所が水浸しになる場合がありますので、先に雑草を刈り取る方がスムーズです。雑草が生えやすいようでしたら除草剤を使用します。除草剤の他にも「雑草を防ぐ砂」のような商品もあります。使用する場合は植栽や芝生に影響が出ないように注意してください。特に近隣墓所、共有スペースへの影響には注意しましょう。植栽も綺麗に切りそろえましょう。
お隣の植栽がはみ出て来ていても勝手に切ってはいけません。法律上では枝葉の所有権はお隣にありますのでご注意ください。気になる場合は、霊園を管理する方にご相談されるとよいでしょう。
花立てを掃除するためにコップ洗いのようなタワシを用意していくと便利です。古くなった塔婆は霊園内のお焚きあげ所や指定された所に置きましょう。
玉砂利は、ザルなどを使って土をふるい落として砂利だけにしてから水洗いをして敷き詰め直すと綺麗になります。玉砂利は年月を経るとだんだんに土に埋もれてしまったりして減ってきます。少なくなってきたらホームセンターなどで同じような素材を買い求めて補充をされると良いでしょう。
濡れ雑巾で墓石の汚れを拭き取ります。
鏡面加工されている墓石ならば多少の汚れはこれで取れるはずです。
頑固な汚れや苔を取る場合は、汚れ部分にたっぷりと水をかけ、汚れに水を吸わせてからスポンジタワシなどで磨きましょう。
墓石に水を掛けるのは失礼といった考え方もあるようですが、そこは気持ちの問題ではないでしょうか。汚れを取り、綺麗にして差し上げる気持ちをもって行いましょう。
「墓石専用洗剤 月光」のような墓石専用洗剤を使用するとさらに便利です。
最後に綺麗な水をかけて乾いたふきんで拭き取ります。
彫刻部分のお掃除には歯ブラシのような小さなブラシがあると便利ですが、あまり擦ると色が剥げる場合がありますので注意しましょう。
水鉢の古い水を捨て、綺麗なお水に替えて供えます。水鉢がない場合はコップ、湯呑みなどにいれてお水を供えます。
割れやすいコップの場合、小動物や風で倒れて割れたりする場合がありますので割れにくい素材のものがよろしいかと思います。
お花は菊に代表されるような仏花でなくとも故人の好きだった花やご自身が好きなお花、季節のお花で問題有りません。夏場は生花が長持ちしませんので「切り花長持ち剤」などを使うと長持ちします。
お供え物は半紙の上に供えるのが良いとされています。お供え物はどんな物(果物・お菓子・お酒など)をお供えしてもかまいません。故人を想い、ご家族が納得できるものをお供えしてください。
ただし、食べ物は腐ったり鳥や動物が食い散らかされたりすることがありますので、お参りした後には持ち帰ることをお勧めします。
そういった理由から霊園、寺院によっては食べ物のお供えを禁止しているところもありますので確認してください。持ち帰ったお供え物は、「ご先祖様と分け合っていただく」という気持ちで召し上がるといいです。
ローソクを使用する場合は、ローソクに火を灯し、そこから線香に火をつけましょう。ローソクは熱で墓石を変質させたり垂れた蝋の掃除が大変になりますので燭台を使用し直接墓石に立てないようにします。
お線香は人数分に分けて各々がお供えします。
お線香を供える順番は故人と縁の深い方から順に行うのが一般的です。
お線香の香りは場を清めるとされており、仏様のお食事とも言われています。香りの良い物を供えるようにしましょう。
火が付きにくい時は、把をほぐして扇のように広げたり、少量づつに分けて付けるとつけやすくなります。
風が強いと時はを付けるのが大変ですので「風よけライター」などを使用すると便利です。
近況の報告をしたりします。お経を唱えることができるのであれば、お経を唱えます。
墓石がたくさんある場合には、古い祖先のお墓から順にお参りします。
ゴミを所定の場所に捨てるか、ゴミ捨て場がない場合は持ち帰りましょう。