長崎県五島市福江島×日本アクセス
絶滅してしまった、おいしいひじきをもう一度。
⽇本アクセスは、企業理念である「まもる。」「つなぐ。」「つくる。」ことを通じて、⾃社の強みを⽣かし、離島振興・地⽅創⽣などの社会課題の解決に貢献しています。 2012年よりスタートした、⻑崎県五島市福江島産「ひじき」の復活・商品化・販売への取り組みもその⼀つ。⼀度は磯焼けにより絶滅したひじきを漁業者の⽅々が復活させた、その熱い想いに共感し、伝統の味を全国に届けるために当社が取り組んできたチャレンジを、関係者の皆様の⾔葉と共にお届けします。
環境の変化が、豊かな海を“砂漠”に変えた
九州の最⻄端、⻑崎県の⻄⽅海上約100kmに位置する⻑崎県五島市。⼤⼩152の島々からなる五島列島の南⻄部にあり、黒潮本流から分岐して北上する対⾺暖流と、五島列島付近にできる沿岸流の影響を強く受ける豊かな海は、⻄⽇本有数の漁船漁業の好漁場となっています。ひじきも、その特産物の⼀つでした。 「かつては、島周辺の海全体にひじきがありました」と語るのは崎⼭漁業集落 崎⼭地区活動組織 代表の⽵野拡茂さん。しかし、その環境は2000年頃を境に⼀変します。原因は、環境の変化によって⽣じる磯焼けと呼ばれる現象でした。太陽光と海の⽣き物たちが排出される⼆酸化炭素を利⽤して光合成を⾏う海藻類が減少し、そこを住処や産卵の場所としていた⽣物が寄り付かなくなり、⽣態系のバランスが崩れていく「海の砂漠化」。ひじきの収穫量も減少の⼀途を辿り、2010年には絶滅してしまいました。
「五島のどこにもひじきがなくなってしまったんです」と⽵野さんは振り返ります。
「島いっぱいのひじきをもう⼀度」。
漁師たちが⽴ち上がる。
昔のように豊かな海を、なんとか復活させたい──そんな思いから、2012年より崎⼭地区活動組織の漁師の皆さんが、ひじきの復活に向けた取り組みを開始しました。 2013年には五島の海にイケスを設置し、ロープを使った昆布の養殖に挑戦。これに成功したことで、ひじきが育たない原因が海藻を⾷べる⿂であることが判明しました。そこで翌年には、磯を⾷害防⽌ネットで区切り、その内部での養殖試験を実施。2015年には繁殖した海藻の定着が確認できたため、その翌年からより広範囲をネットで守りながらひじき⺟藻を投⼊しました。並⾏して、岩盤の清掃やガンガゼなど藻⾷⽣物の駆除も実施。これらの取り組みが実を結び、活動開始から5年が経過した2017年、ついに天然ひじきが復活したのです。
5年ぶりの再会。
「ひじきがかわいくて仕方ないよ」
「実物を見れば、やっぱり可愛くてね。大事にしようと思いました。あれは、実際に見た人でないとわからない。あちこちから小さい芽が出てきた時は、将来が楽しみでしたね」と竹野さんは振り返ります。
一度は失われた特産品の味に再会し、その魅力を再確認しているのは崎山地区活動組織の支所長、濱﨑清己さん。
「いま、崎山で扱っているひじきは、本当に天然のひじきになります。養殖と比べて、味、もの、非常に違うところがあると思います」。
日本アクセスはこの取り組みと五島のひじきの美味しさに感銘を受け、それを全国に届けるためのサポートを行っています。具体的には、商品開発のお手伝い。 三重県伊勢市で伝統的な「伊勢製法」によってひじきの加工を行っている北村物産株式会社様にご協力いただき、魅力的な商品として売り出す体制を構築しました。
「北村物産様に習った加工技術で、天日乾燥などの一次加工をしています」と語るのは、五島の食品メーカー、マルキン水産食品有限会社の山戸一寿代表。
北村物産で伊勢製法を学び、福江島産ひじきの美味しさをさらに高めています。
「伊勢製法を学んでいただきました。さらに、現地で加工されたひじきを伊勢に持ってきて、最終仕上げと袋詰めを行います。パッケージデザインやWebでの発信は日本アクセス様と一緒に実施。 五島のひじきは自然の恵みをそのまま享受して、非常に身が詰まっていて、食感も風味も良いひじきに仕上がっています」と、北村物産の北村裕司社長も太鼓判を押します。
この美味しさを、必ず全国に届けてみせる。
こうして生み出された福江島の「ひじき」を、全国のお客様のもとへと届けるのも日本アクセスの役割です。2022年7月に開催された日本アクセス主催の展示会では、 乾物ブースで「福江島産ひじき」を展示し、得意先の小売業様に向けて紹介、提案を実施。結果、多くの導入に向けた引き合いとお問い合わせが寄せられました。
豊かな海と伝統の味を「まもる。」活動を後押しすべく、生産・加工・販売に携わる組織・企業を「つなぐ。」お手伝いをし、新たな商品と価値を「つくる。」ことに成功した今回のチャレンジ。 現在も課題の解決に取り組みながら、ひじきにとどまらず、五島列島の豊かな食材を全国のお客さまに幅広く届けていく活動に力を注いでいます。
今後も日本アクセスでは、地方で発掘されずに埋もれている地域ならではの特色、伝統ある水産物を発掘し、サプライチェーン全体で連携しながら、持続可能な水産業となるべく支援、協力していきます。