有栖川有栖「折れた岬」 日経夕刊連載小説 - 日本経済新聞
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夕刊連載小説・有栖川有栖「折れた岬」(大路浩実 画)のバックナンバーをお読みいただけます。

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  • 有栖川有栖「折れた岬」(113)

    有栖川有栖「折れた岬」(113)

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    滝原は渚まで進んで、泡となって消えていく波に靴先を洗わせてみる。こんな子供じみたことをするのも、ずいぶんと久しぶりだ。湿った砂の感触を楽しみながら、しばらく波打ち際を歩いた。 さして年齢が変わらないぐらいの男女とすれ違う。リタイアして旅行を楽しんでいる夫婦だろうか。子供はとうに独立し、肩の荷をすべて下ろしての旅行。 「夕食に鮑は出るかしら」 「そりゃ出るよ、きっと」 会話の断片が耳に入った。麻の…
    大路浩実 画
    1-20/115

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