「気候危機を避けるための時間は残りわずかだ」とよく言われます。しかし、これはどういう意味なのでしょうか?残された時間を測るものさしの一つとして、「カーボンバジェット」があります。
カーボンバジェットとは、地球温暖化を一定のレベルで抑えるために許容される残存のCO2排出量のことです。パリ協定の「1.5℃目標※1」達成のために残されたカーボンバジェットは、現在の年間のCO2排出量で計算した場合、あと6~7年分しかありません。
では、このバジェットを超過してしまったら、どうしたらよいのでしょうか?私たちは今、1.5℃の目標達成だけでなく、目標が達成できなかった時のバジェットの超過分、つまり<炭素の負債>をどう返済したらよいのかという問題にも直面しているのです。
※12015年に採択された「パリ協定」では、気候変動による悪影響を最小限に抑えるため、産業革命前からの世界の気温上昇を「2.0℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること(1.5℃目標)」という目標を掲げている。