カミツキガメ / 国立環境研究所 侵入生物DB
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カミツキガメ

基本・侵入情報 参考資料リスト
基本情報
和名 カミツキガメ

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カミツキガメ
分類群 爬虫綱 カメ目 カミツキガメ科
(Chelydridae, Testudines, Reptilia)
学名 Chelydra serpentina subspp.
主なシノニム Chelydra rossignoni, Chelydra acutirostris
英名等 Snapping turtle
自然分布 カナダからエクアドルにかけてのアメリカ大陸.
形態 背甲長49cmに達する大型種.背甲には3本の隆条があり,後端はぎざぎざ.腹甲は小さい.四肢は強靱で頭部が大きい.尾は長く雄の方がより長くなる.在来種に比べて尾が長いため,尾跡の最大幅/左右の足跡が1/5を超える(在来種では1/10以下)という特徴で,軌跡から生息を確認できるという報告がある.
生息環境 水生傾向が強く,生涯水辺に生息する.緩やかな流れや止水中の水生植物,岩,沈水木などが多い場所を特に好む.渓流では見られない.
温度選好性:原産地の緯度に日本の緯度が全て含まれてしまうため,温度耐性の面からは,国内のほとんどの地域で越冬,繁殖が可能と思われる.
繁殖生態 繁殖期:原産地では4~11月にかけて交尾が見られる.産卵は5~9月にかけてなされ,6月がピーク.
交尾は水中でなされる.雌が深さ10~13cmの巣穴を掘って直径23~33mmのピンポン玉のような丸い卵を産出する.幼体は55~125日で孵化するが,孵化が翌年になることもある.産仔数:一腹卵数は11~83個だが20~30個が普通.稀に100個を越えることがある.
生態的特性 本来は夜行性で深い水場を好むとされる.
食性:雑食性.幼体は肉食傾向が強い.
侵入情報
国内移入分布 千葉県印旛沼付近および静岡県に定着しており,東京都練馬区光が丘公園,上野不忍池でも定着の可能性が指摘されている.
福島,新潟,群馬,茨城,埼玉,神奈川,山梨,長野,石川,東海,近畿,岡山,鳥取,広島,山口,香川,福岡,佐賀,長崎,大分,宮崎,熊本,鹿児島,沖縄の各県で記録あり.福島県の阿武隈川で2010年6月に捕獲された雌は,潜在的に繁殖可能であることが確認されている.
国内分布図
※必ずしも色が塗られた地域全体に分布するわけではありません
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移入元 米国
侵入経路 愛玩用に輸入されたものが遺棄されたとみられる.
侵入年代 1960年代
影響 捕食による淡水生物相への影響,競合による在来の淡水カメ類への影響.漁具の損壊.ヒトへの咬傷.
影響を受ける在来生物:水草や水生昆虫,ザリガニ,カニ,エビ貝類,ミミズ,ヒル,淡水カイメン,魚類,カエル,ヘビ,小型のカメ類などさまざまなものを採食するため,淡水生物相に広く影響が及ぶ.
法的扱い 特定外来生物(外来生物法).移入規制種(佐賀県 環境の保全と創造に関する条例)
防除方法 トラップによく掛かるため,魚のアラなどをエサにした頑丈なトラップを多数設置することが現実的.水域を仕切るなどして,区画毎に根絶させる方法が効率的と思われる.
問題点等 情報整理中
海外移入分布 なし.
備考
日本の侵略的外来種ワースト100

生物多様性への影響に加え,漁具の破損や咬みつきによる人体被害も考えられる.ただし,原産地では明らかな人的被害は生じていないらしい.現在の繁殖分布は千葉県印旛沼周辺や東京上野の不忍池で確認されているが,今後,徐々に分布域を広げ,利根川水系から関東一円に拡散することが懸念される.よって,現在であればまだ根絶の可能性があるため,早急に着手する必要がある.
中米,南米の個体群を別種とする見解もあるが,ここでは広義のC. serpentinaを認めた.外来生物法では,広義の本種全体を規制対象としている.

令和6(2024)年度 環境省「特定外来生物の市区町村別侵入状況の把握のためのアンケート」調査の結果は,市区町村単位の分布地図※及び一覧(下記URL)にて参照されたい. https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/moe2024_0927.xlsx
※都道府県単位の分布地図(本ページ掲載に)は,学術誌や記事,通報などをもとに,標本や画像データを確認して作成されたものである. 市区町村単位の分布地図(詳細マップ)は,自治体へのアンケートをもとに作成されたものである. 従って,両者の分布情報が一致しない部分がある.
基本・侵入情報 参考資料リスト