ヌートリア / 国立環境研究所 侵入生物DB
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ヌートリア

基本・侵入情報 参考資料リスト
基本情報
和名 ヌートリア

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ヌートリア
分類群 哺乳綱 齧歯目(ネズミ目) ヌートリア科
(Echimyidae, Rodentia, Mammalia)
学名 Myocastor coypus
英名等 Nutria
自然分布 南米の中~南部
形態 大きなドブネズミのような体つきで,目や耳は小さく,尾は扁平でなく円筒状である.後ろ足は前足より長く,第1指から第4指までの間には水かきがある.第5指は離れていて,毛づくろいに使われる.前足に水かきはなく,第1指は痕跡的であるが,他の指は長く曲がりやすい形をしている.頭胴長647mm,尾長387mm,後足長130mm,耳長27mm,頭骨基底全長118mm(香川県産の標本).雄の方がやや大きい.乳頭式2+2+0=8.
生息環境 流れの緩やかな河川,湖,沼沢地.
温度選好性:寒さに弱く,冬季には流産の確率が高くなる.また,北欧・北米の寒冷地では定着後に自然に絶滅した地域もある.国内では,鳥取県・兵庫県北部山間部でも分布拡大しつつあることから,少なくとも西日本のほとんどの地域では定着可能と考えられる.
繁殖生態 繁殖期:通年繁殖可能.多回発情種(polystrus)で,年間2~3回出産.
生後3~10ヶ月で性成熟.妊娠期間127~138日.産仔数:2~9頭,平均5.87.性比は雄に偏る.若齢の雌では仔の性比は特に雄に偏り,高齢の雌ではほぼ1:1.兵庫県の個体群でも生後3~6ヶ月で繁殖.野外での寿命は2年程度.
生態的特性 夜行性.ただし,可塑性が高く,侵入地で昼間に活動する場合もある.土手や堤防等に複数の巣穴を掘る.水面上に水生植物を集めて「プラットホーム」という浮巣を作って暮らすこともある.台風などによる水害によって,減少する場合がある.
食性:草食でホテイアオイ,ヨシ,ヒシ,マコモ等の水生植物を中心に,陸上のものも含めて幅広い植物を食べる.イネ及び水辺周辺の農作物.茎と地下茎を好む.貝・魚類を食べることもある.
侵入情報
国内移入分布 福島,埼玉,福井,岐阜,静岡,愛知,三重,奈良,滋賀,京都,大阪,兵庫,岡山,鳥取,広島,島根,山口,香川,愛媛の各府県に定着.
他の多数の県でも確認事例がある(一部はマスクラットやミンクの誤認の可能性もある).
国内分布図
※必ずしも色が塗られた地域全体に分布するわけではありません
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移入元 1939年の多数個体の輸入は,フランスから.
侵入経路 第二次大戦時中から戦後にかけて毛皮用(特に軍用)に飼育していたものの逸出・放逐.世界各地でも毛皮生産のため導入された.本種は半水生生活で体温を維持する良質の毛皮を持つ.
他国では,水草・水辺雑草除去や狩猟獣として放逐されたこともある.
侵入年代 最も早期の導入は明治末期.1939年に150頭輸入され,関東~西日本で軍民で多数飼育された.野外への逸出・放逐が大規模に生じたのは,終戦直後と1950年代の毛皮ブームの後と考えられている.
影響 水生植物に対する食害.巣穴による堤防・水田の畦・ため池の破壊.農業被害
影響を受ける在来生物:水生植物.農作物(イネを中心に,様々な品目に被害あり).
法的扱い 特定外来生物(外来生物法).狩猟鳥獣(鳥獣保護法).移入規制種(佐賀県 環境の保全と創造に関する条例)
防除方法 田畑周辺・巣穴周辺の草の狩り払い.ネット・金網・電気柵による侵入防止.箱ワナ・銃器による捕獲.海外では,ワナによる計画的な捕獲で根絶に成功した事例もある.
問題点等 情報整理中
海外移入分布 アゼルバイジャン,グルジア,イスラエル,ヨルダン,カザフスタン,タジキスタン,トルコ,トルクメニスタン,ヨーロッパ各地,ケニア,米国本土各地,カナダ,メキシコ北部など.
備考
世界の侵略的外来種ワースト100,日本の侵略的外来種ワースト100

令和6(2024)年度 環境省「特定外来生物の市区町村別侵入状況の把握のためのアンケート」調査の結果は,市区町村単位の分布地図※及び一覧(下記URL)にて参照されたい. https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/moe2024_0927.xlsx
※都道府県単位の分布地図(本ページ掲載に)は,学術誌や記事,通報などをもとに,標本や画像データを確認して作成されたものである. 市区町村単位の分布地図(詳細マップ)は,自治体へのアンケートをもとに作成されたものである. 従って,両者の分布情報が一致しない部分がある.
基本・侵入情報 参考資料リスト