国際理学観測衛星ライズサット搭載 超小型光送信器(VSOTA)の初期運用開始
2019年2月13日
国立研究開発法人情報通信研究機構
NICTは、共同研究相手である東北大学等が中心となって研究開発された国際理学観測衛星ライズサット(RISESAT: Rapid International Scientific Experiment Satellite -2019年1月18日イプシロンロケット4号機で鹿児島県内之浦より打ち上げ)に搭載したNICT開発の超小型光送信器(VSOTA:Very Small Optical TrAnsmitter)について、1月21日に電気部をONし、正常に動作していることを確認しました。
VSOTA は、これまで日本で開発された衛星搭載用光通信機器 で最も小型・軽量であり、世界のシステムの中でも超小型です。VSOTAは、NICT が2014年~16年にかけて宇宙実証を行った小型衛星SOCRATES搭載の小型光通信ターミナル SOTA(Small Optical Transponder)のコンポーネントを利活用したもので、ライズサット用に機能を絞り、衛星の重量、電力に制限のある超小型衛星における光通信技術の獲得のために開発されました。VSOTAの特徴は、世界でも最軽量級(1kg)の質量や、衛星姿勢そのものでビームを相手局に指向する(ボディポインティング)ことにあります。(下図および別表参照)
今後、NICTは、VSOTAのチェックのため東北大学が実施するライズサット衛星本体の機能評価と他のミッションの性能評価スケジュールに沿って、同衛星搭載のNICT開発CCR(コーナキューブレフレクター)に対するレーザ測距(SLR)による軌道・姿勢の確認や光源の初期性能確認作業を行い、準備が整い次第、光通信実験を実施して参ります。(実験イメージ 下図参照)なお、ライズサット衛星に関しては、東北大学が関係機関と共同発表した記事を合わせてご覧ください。
※ライズサット衛星は国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の革新的実証プログラム主衛星の副衛星の一つとして打ち上げられました。
別紙
表1 VSOTA と SOTA の仕様比較
VSOTA | SOTA | |
質量 | < 1 kg | 6.2 kg |
消費電力 | < 10 W | 40 W |
リンク距離 |
2000 km max
|
|
波長 (広がり角) |
980 nm, 1550 nm(送信) 広がり角 (3.3 / 1.2 milli- radian) |
980 nm, 1550 nm(送信)広がり角(200 micro- radian) 800 nm(送信) 1064 nm(受信) |
光パワー |
980 nm:540 mW(max)
1550 nm:80 mW(max)
|
|
偏光 |
980 nm:偏光無依存
1550 nm:直線
|
|
変調速度 |
100 kbps (1 kbps~1 Mbps 可変)NRZ, PPM |
1 Mbps または 10 Mbps NRZ |
表2 VSOTAの機器構成とライズサット衛星上の搭載位置
NICT担当機器 |
東北大学担当機器 |
VSOTA-COL:コリメータ部 (機能:光ファイバーで導かれたレーザ光を平行にして空間に発射する) |
VSOTA-CNT:電気制御部(©東北大学) (機能:テレメトリ、コマンド処理、変調信号発生と衛星本体とのインタフェースを行う) |
VSOTA-E:レーザダイオード回路部 (機能:レーザダイオード、パワー、温度センサーを格納する) |
ライズサット衛星上のVSOTA機器(©東北大学) |
CCR:コーナキューブレフレクター (機能:レーザ光を入射方向に反射するプリズム) |
衛星ボトムパネル上のVSOTA機器(©東北大学)
|