研究所長紹介|NICT-情報通信研究機構

研究所長紹介

  • 中川 勝広(なかがわ かつひろ)

    中川 勝広(なかがわ かつひろ)

    電磁波研究所

    研究所長

    平成10年郵政省通信総合研究所(当時)に入所。沖縄電波観測所(当時)で、C帯二重偏波気象レーダの開発に従事。
    平成18年米国航空宇宙局ゴダード宇宙飛行センター 客員研究員として長期出張。衛星搭載二周波降水レーダのアルゴリズム開発に従事。
    平成28年国立研究開発法人情報通信研究機構経営企画部企画戦略室プランニングマネージャー。
    平成29年内閣府へ出向、内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付参事官(重要課題達成担当)付 実務研修員。人工知能(AI)技術戦略の策定等に従事。
    平成29年国立研究開発法人情報通信研究機構電磁波研究所リモートセンシング研究室長。
    令和3年同経営企画部企画戦略室長。
    令和5年4月から現職。博士(工学)。



     電磁波研究所は、電波と光などの「電磁波」に関する研究開発と法定業務(パブリックサービス)を小金井本部中心に、3箇所の電波観測施設(サロベツ(北海道)、山川(鹿児島県)、大宜味(沖縄県))、2箇所の電波送信所(おおたかどや山(福島県)、はがね山(佐賀県と福岡県の県境))、沖縄電磁波技術センターなど日本全国の観測施設において各種センサによる観測を行い、研究開発を行っています。
     第5期中長期計画の3年目となる令和5年度は、これまでの2年間で取り組んで参りました研究開発を着実に進め、電磁波を使った気象、災害、宇宙環境をはじめとする社会の状況を正確に把握するセンシング技術の研究開発、科学技術の発展や現代社会の基盤維持に不可欠な、電磁波に関する基準や標準を構築するための技術の研究開発、電磁波を活用した萌芽的な研究開発や、当研究所が有する電磁波技術のビジネス展開・国際連携・学際連携を推進し、“電磁波による新しい社会基盤の創出”を実現します。

  • 原井 洋明(はらい ひろあき)

    原井 洋明(はらい ひろあき)

    ネットワーク研究所

    研究所長

    平成10年郵政省通信総合研究所 入所 統合通信網研究室 配属(以降、網構成・光・モバイル等ネットワーク分野の研究開発と推進に従事)
    平成14年独立行政法人通信総合研究所 主任研究員
    平成20年独立行政法人情報通信研究機構 ネットワークアーキテクチャグループ グループリーダー
    平成23年同 ネットワークアーキテクチャ研究室 室長
    平成28年国立研究開発法人情報通信研究機構 ネットワーク基盤研究室 室長
    平成30年同 総合テストベッド研究開発推進センター 研究開発推進センター長
    令和 3年同 ネットワーク研究所 研究所長(ソーシャルイノベーションユニット 主管研究員兼務)
    博士(工学)



     私たちネットワーク研究所は、5カ所(東京・小金井、神奈川・横須賀、宮城・仙台、茨城・鹿島、兵庫・神戸)を拠点に活動しています。前中長期計画期間における「統合ICT基盤分野」の研究開発で培った技術を礎に、Beyond 5G 時代における Society 5.0 の高度化による社会システムの変革を実現するため、通信トラヒックの急増や通信品質の確保、サービスの多様化等に対応しうる「革新的ネットワーク」分野の研究活動を実施します。すなわち、Beyond 5Gで望まれる機能である広帯域通信や超低遅延、高信頼を叶えるため、光・無線・ネットワーキング等の基礎・システム技術を高める研究活動をしています。
     世界的なSDGs等の社会課題解決に貢献するため、ネットワークの研究開発に取り組みます。具体的には、数量面と通信領域(陸上に加え海上や上空・宇宙)の拡張性や、災害・障害といった場面でも情報流通を支えるレジリエンスを追求します。さらには、円滑な情報流通を根幹で支える大容量の光通信技術や光と電波を調和利用する技術、柔軟に省力に通信・計算・蓄積・センシングリソース(資源)を制御管理し、さまざまな情報特性に合うネットワークサービスを共存させるためのネットワーク基盤技術を確立してまいります。サイバー空間上のネットワーク技術検証基盤への挑戦も行っています。
     ネットワークは、様々な技術革新によって新たなモノを繋ぎ続け、価値の創造に貢献しています。私たちは一体となってネットワーク分野の技術を創造し深化し、標準化、研究開発成果の普及を推進して、Beyond 5G時代の社会を支えます。産業界や学術界と密接に連携し、また、社会の皆さまのご意見にアンテナを張りながら、技術を確立し、研究成果の展開促進や当該分野の国力強化を推進してまいります。

  • 井上 大介(いのうえ だいすけ)

    井上 大介(いのうえ だいすけ)

    サイバーセキュリティ研究所

    研究所長

    平成15年独立行政法人通信総合研究所(現NICT) 入所
    平成19年独立行政法人情報通信研究機構 主任研究員
    平成22年同 総合企画部 プランニングマネージャー
    平成23年同 サイバーセキュリティ研究室 室長
    平成24年同 サイバー防御戦術研究室 室長(兼務)
    平成28年国立研究開発法人情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究室 室長
    令和元年同 サイバーオブザベーション運用室 室長(兼務)
    令和 3年同 サイバーセキュリティネクサス ネクサス長
    令和 5年同 サイバーセキュリティ研究所 副研究所長(兼務)
    令和 6年同 サイバーセキュリティ研究所 研究所長
    博士(工学)


     巧妙化・複雑化するサイバー攻撃への対策は国を挙げた喫緊の課題となっており、サイバーセキュリティ分野でのNICTに対する社会的要請が高まりつつあります。サイバーセキュリティ研究所では、多種多様なサイバー攻撃から我が国を守るため、NICTの中立性を活かし、産学との緊密な連携によりサイバーセキュリティ研究開発の世界的中核拠点を目指します。また、政府の方針を踏まえ、サイバーセキュリティに関する演習、サイバーセキュリティ産学官連携拠点形成、IoT機器のサイバーセキュリティ対策の促進などの業務を実施します。
     NICTでは、サイバー攻撃に関連した情報を大規模に収集・蓄積し、横断分析する技術の研究開発を進めてきました。令和3年4月からの第5期中長期計画では、これらの技術の高度化を進めるとともに、サイバーセキュリティ情報を分析する国内解析者コミュニティを形成し、社会全体でサイバーセキュリティ人材を育成するための共通基盤を開放することで、日本のサイバーセキュリティの対処能力向上を目指します。
     また、安心・安全なサイバー空間の実現には、セキュリティやプライバシーを確保した上で、データを安全に利活用する技術が欠かせません。さらに、大規模量子コンピュータが実現すると、現在使われている暗号技術の安全性が脅かされるという懸念もあります。耐量子計算機暗号などの量子コンピュータ時代に対応する新たな暗号技術、並びに、電子政府システム等において現在広く使用されている暗号技術の安全性評価を行ってまいります。

  • 内元 清貴(うちもと きよたか)

    内元 清貴(うちもと きよたか)

    ユニバーサルコミュニケーション研究所

    研究所長

    平成 8年郵政省通信総合研究所(現NICT)入所
    平成21年内閣府出向
    平成23年独立行政法人情報通信研究機構 ユニバーサルコミュニケーション研究所 研究マネージャー
    平成27年国立研究開発法人情報通信研究機構 先進的音声翻訳研究開発推進センター
    企画室長
    令和 2年同 ユニバーサルコミュニケーション研究所 研究所長
    令和 3年同 ユニバーサルコミュニケーション研究所 先進的音声翻訳研究開発推進センター
    研究開発推進センター長(兼務)
    令和 3年同 ユニバーサルコミュニケーション研究所 先進的リアリティ技術総合研究室 室長(兼務)
    ※誰もが分かり合えるユニバーサルコミュニケーションの実現を目指し、特に、自然言語処理、音声翻訳の研究開発・社会実証及び研究成果の社会還元に従事。
    博士(情報学)



     ユニバーサルコミュニケーション研究所では、誰もが分かり合えるユニバーサルコミュニケーションの実現を目指して、日本語を中心として分野に特化した高品質・大規模データベースを核とするAI研究基盤を構築し、その基盤を活用した3つのコア技術、すなわち、ビジネスで使える低遅延のAI同時通訳を可能とする多言語コミュニケーション技術、仮想的人格を用いてユーザの興味・背景に合わせた対話を可能とする社会知コミュニケーション技術、パブリック/プライベートデータを連携させた実世界の状況分析・予測を可能とするスマートデータ利活用基盤技術、及び、コミュニケーションの質を向上させる技術の研究開発とそれらの技術の社会実装に取り組んでいます。その際、重視しているのは「研普両道」すなわち「研究」と「普及」の両立です。研究開発においては、前例にとらわれないオンリーワン/ナンバーワンのコア技術を創出し、その技術を、広く使っていただける普遍の技術として研ぎ澄ませます。そして、それらの技術を活用した実証/実用システムを産学官の力を結集して開発・展開し、社会実装に繋げるとともに、社会で生み出された知識源を研究開発へフィードバックします。この研究開発と社会実装を循環するポジティブスパイラルを実現することにより、コア技術を世の中で普通に使われる技術とすることを目指します。そして、これにより、国際ビジネス、高齢者ケア、環境リスク低減等における言葉の壁・知識の壁・データ利活用の壁をなくし、社会課題の解決や新たな価値創造等に貢献します。

  • 和田 尚也(わだ なおや)

    和田 尚也(わだ なおや)

    未来ICT研究所

    研究所長

    平成10年郵政省通信総合研究所(現情報通信研究機構)入所
    平成12年同 光技術部 光通信技術研究室 研究マネージャー
    平成21年独立行政法人情報通信研究機構 超高速フォトニックネットワーク研究室 室長
    平成28年国立研究開発法人情報通信研究機構 ネットワークシステム研究所 研究所長
    令和 2年同 未来ICT研究所 研究所長
    博士(工学)



    ~ 従来の概念を超えたイノベーションの創出と育成 ~
    NICTでは、観る、繋ぐ、創る、守る、拓く、の5つ言葉とそれぞれ紐付けられた5分野において研究開発を実施しています。各分野の研究主体となるのが5つの研究所です。“情報通信の新しい地平を「拓く」”をその理念とし据える未来ICT研究所は、この5研究所中でも特に先端的・基礎的な研究テーマを実施します。
     令和3年4月からの第5期中長期計画を開始しました。前中長期計画までは「フロンティア研究分野」でしたが、今中長期計画からは「フロンティアサイエンス研究分野」となり“サイエンス”が加わりました。これは、未来を拓くために、“これまで以上に高度な学術的知見”に裏付けされた、先端的・基礎的な研究開発を実施することへの期待と捉えています。不毛にも見える辺境(Frontier)の大地を、失敗を恐れず、科学(Science)という鍬で開拓し、「未来を拓く」のがその役割であると考えています。
     また、これまでの神戸と小金井の研究室・センターに、吹田の脳情報通信融合研究センター(CiNet)が加わりました。これにより未来ICT研究所はNICT内で最大規模の研究所になり、そのカバーする研究領域も広くなりました。私ども未来ICT研究所は、従来の概念を超えたイノベーションの創出と育成に取り組んでまいります。

  • 寳迫 巌(ほうさこ いわお)

    寳迫 巌(ほうさこ いわお)

    Beyond5G研究開発推進ユニット

    ユニット長

    平成 5年博士号(理学)取得、日本鋼管株式会社入社 (超LSI生産技術の研究開発)
    平成 8年郵政省通信総合研究所入所 研究官(テラヘルツ波検出器の研究)
    平成10年同 主任研究官(テラヘルツレーザの研究)
    平成18年独立行政法人情報通信研究機構 光波・量子・ミリ波ICTグループ    
        研究マネージャー (テラヘルツ帯量子カスケードレーザの研究)
    平成20年同 先端ICTデバイスグループ グループリーダー (テラヘルツカメラの研究開発)
    平成23年同 未来ICT研究所 副研究所長
       (300GHz帯を用いた100Gbit/s無線の研究開発・標準化(IEEE802.15.3d副議長)等)
    平成25年同 未来ICT研究所 研究所長(名称変更)
    平成27年国立研究開発法人情報通信研究機構 未来ICT研究所 研究所長
    令和 2年同 ワイヤレスネットワーク総合研究センター長(B5Gの研究開発)
    令和 3年同 Beyond5研究開発推進ユニット長(B5Gの研究開発)
    博士(理学)



     Beyond 5G研究開発推進ユニット、テラヘルツ研究センターは共にNICTの様々な研究所等との関りが多い横串的組織です。そのためBeyond 5Gやテラヘルツと言ったキーワード的共通項はあるものの、極めて幅広い分野の研究開発が対象として含まれています。Beyond 5G研究開発推進ユニットのロゴマークに対して、「異分野のテクノロジーやビジネスなど『様々な側面』からアイデアを出し合い、皆で創り上げた箱の中にはワクワクする未来が詰まっているという、Beyond 5G研究開発の特徴を示している。NICTロゴの青を基調とし、NICTの英知を最大限活用していくという情熱を込めた。」としているところですが、これは幅広い分野を対象とする組織にとって重要な運営指針であると肝に銘じて日々の運営を行っています。

  • 藤原 幹生(ふじわら みきお)

    藤原 幹生(ふじわら みきお)

    量子ICT協創センター

    研究センター長

    平成 4年郵政省通信総合研究所(現NICT) 入所
    平成16年独立行政法人情報通信研究機構 基礎先端部門量子情報技術グループ 主任研究員
    平成28年国立研究開発法人情報通信研究機構 未来ICT研究所
        量子ICT先端開発センター 研究マネージャー
    令和 3年国立研究開発法人情報通信研究機構 未来ICT研究所
        小金井フロンティア研究センター 量子ICT研究室 室長
    令和 5年国立研究開発法人情報通信研究機構 量子ICT協創センター 研究センター長
    博士(理学)



     量子ICT協創センターは、NICTが国内の量子イノベーション拠点の一つである「量子セキュリティ拠点」に指定されたことを受け、量子技術が拓く新たな情報セキュリティを社会へ届けることを目的に2021年4月に発足しました。
     現在のインターネットを駆け巡る情報の実体は、0と1という記号を表す電気や光のパルスの膨大な羅列です。この2つの数字による情報の抽象化が完成したのは20世紀の半ば頃ですが、この枠組みが今日まで延々と使いつづけられてきました。しかし、この枠組みは、今、量子力学という究極の物理法則によって書き換えられ、新たなパラダイムへ飛躍しようとしています。
     量子力学の世界から素直な心で眺めると、究極の情報を担うのは、確固として曖昧さのかけらもない0, 1のビットではなく、0でもあり1でもありうるような量子力学的なビット、キュービット(quantum bitの略)になります。1990年代半ばには、キュービットで構成される量子コンピュータが現在の暗号システムを瞬時に解読することが示され、社会に衝撃を与えました。今日、小規模の量子コンピュータのクラウドサービスが始まっています。
     一方、量子コンピュータによってその安全性が冒されはじめた現代暗号に換って、究極の安全性を保証する新しい方式が量子暗号です。量子暗号はすでに実用化され、各国でインフラ構築が始まりつつあります。
     今後、情報通信システムは『量子』の土台の上に再構築されてゆくと思います。実際、量子コンピュータや量子暗号を従来の技術と融合することにより、新しいアプリケーションやサービスが生み出され始めています。
     このような背景のもと、私たちはNICT内の関連部門と協力し、研究開発から社会実装、標準化、人材育成にわたる様々な活動を一人でも多くの方々と連携して進めるため、オープンな協創環境を整備しています。様々な分野、業界の皆様と力を合わせ、新たな融合領域「量子セキュリティ分野」の創成や成果の社会実装に取り組んで参りたいと思います。