1830年以降、琉球には西洋諸国からも思惑をもつ人たちが訪れました。さまざまな“縁”は縦横無尽に接続したり途切れたり……。組踊の世界から壮大に広がる物語をお楽しみください。
沖縄が世界に誇る伝統芸能である「組踊(くみおどり)」。『花売の縁』は1808年に初演され、戦後初めて上演された組踊でもあり、親子の再会を描く物語が当時の沖縄の人たちの心を癒し希望を与えた作品でもあります。環境や生活、時間や距離の感覚が大きく変化した現代(いま)、振付家、演出家・白神ももこと劇作家・兼島拓也が沖縄の今昔を通して新たな視点から『花売の縁』を読み解き、現代演劇として再構築します。
◇「出会い」シリーズとは…
違う地域で活動するアーティスト同士の“出会い”。観客のみなさまと演劇の戯曲との“出会い”。様々な出会いからたちあがる舞台作品をなはーとでお楽しみいただくシリーズです。
前回上演:2023年10月
出会いシリーズ①和田ながら×新垣七奈/ジャン・コクトー『声』@なはーと大スタジオ
出演
山内千草、大山瑠紗[Theater TEN Company]、井上あすか、北川結[モモンガ・コンプレックス]、垣花拓俊[ネクストヒーローズ沖縄]、安和学治[劇艶おとな団]
日時
11月30日[土]14:00開演◎、19:00開演
12月1日[日]14:00開演◎
*開場は開演の30分前*各回アフタートークを予定
◎14時の回は託児サービスあり(事前予約・有料)
※30日(土)19時の回は記録撮影のために場内にカメラが設置されます
【アフタートーク登壇者】
30日14時…神谷武史、白神ももこ、兼島拓也
30日19時…jujumo(音楽)、Aco Miyagi(衣裳)、鈴木健介(美術)/進行:白神ももこ、兼島拓也
12月1日14時…山内千草、大山瑠紗、井上あすか、北川結、垣花拓俊、安和学治
会場
小劇場
原作
組踊『花売の縁』[高宮城親雲上・作]
演出・振付
白神ももこ[モモンガ・コンプレックス]
【コメント】
時代の移ろいとともに様々な角度から沖縄の人々に愛されてきた組踊『花売の縁』を題材に、劇作家・演出家の兼島拓也さんと現代演劇をつくります。これは、ルーツが沖縄にはない私にとって、とてもこの手で抱えきれないことかもしれないです。でも、親子とか、旅をすることとか、沖縄の空の下で思ったこととか、この物語自体がいろいろな人たちを広く受け止めてくれている、そう思いました。何か、一人ひとりが立場を示さなければいけないような空気が立ちこめる今の世の中で、『花売の縁』はどのように写るのか。兼島さんや音楽のjujumoのお二人、出演者、スタッフと一緒に古典の大らかな胸を借りつつ、大いに遊びながら本質に迫ることができる機会に恵まれ、新たな冒険の旅に出られることがとても楽しみです!
⇒10/31[木]開催!白神ももこによるダンスワークショップ【無駄の(お)すすめ】
作・演出
兼島拓也[チョコ泥棒]
【コメント】
『花売の縁』という組踊作品は、シンプルな物語であるだけに上演される時代や観る人の思いを吸収して、万華鏡みたいに多様で常に変容し続ける作品なのだと思っています。なぜいま現代演劇に? そんな問いから出発して、組踊そして『花売の縁』の広く深い海をプカプカ浮遊しつつ考えて創作できたらと思います。
予感的なことを一つ。冊封使の歓待のために創られた組踊は、つまりその始まりから中国との関係性が内包されています。その部分を俯瞰しつつ凝視するという作業から、言い換えれば琉球王国を中心とした世界史みたいなことを念頭に置きながら、今回の創作は進んでいくような気がしています。
はじめてご一緒する白神ももこさんとのディスカッションはすごく楽しくて、今はひたすら笑い転げるような時間を過ごしています。仕事をしている感覚がありません。たぶんしていないかもしれません。ただ、最終的にはちゃんとした仕事になってるかと思います。
音楽
jujumo
スタッフ
アドバイザー:神谷武史 舞台美術:鈴木健介 衣裳:Aco Miyagi[millie haven] ヘアメイク:友寄みずの 照明:棚原栄作[(株)エムエルスタジオ] 音響:屋比久夏芽[(株)エスエルアイ] 舞台監督:津嘉山弘[月光道] 大道具製作:(同)みやぎ大道具 宣伝美術:アイデアにんべん 写真:大湾朝太郎 稽古場日記:奥間空 ハラスメント防止研修:植松侑子 制作:島袋景子[シマシマ企画] 制作助手:玉城歩未、池根愛美 プロデューサー:土屋わかこ
協力:株式会社梅田芸術劇場、合同会社他力、チョコ泥棒、モモンガ・コンプレックス、桂波那
プロフィール
【演出・振付】白神ももこ/しらが・ももこ
振付家 ・演出家 ・ダンサー。ダンス・パフォーマンス的グループ「モモンガ・コンプレックス」主宰。モモンガ・コンプレックスの全作品の構成・振付・演出を担当。無意味・無駄を積極的に取り入れユニークな空間を醸し出す作風には定評がある。フェスティバル/トーキョー 14 にて美術家毛利悠子、音楽家宮内康乃らとストラヴィンスキーの『春の祭典』の新解釈の総合演出振付として参加。2020年には、フェスティバル/トーキョー 20 にてコロナ禍での作品、ミュージカル的ダンス・パフォーマンス『わたしたちは、そろっている。』を上演。2017〜2018年度セゾン文化財団ジュニアフェロー。2019年より埼玉県富士見市民文化会館キラリふじみ芸術監督
https://momongacomplex.info/
キラリふじみ・ダンスカフェ スペシャルコラボレーション『幻想曲』(2020年)
コンセプト・ディレクション
撮影:三浦麻旅子
キラリふじみ芸術監督企画『モガ惑星 宇宙は遠い記憶のおんがくかい[ドレもソラミミ編]』(2021年)
総合演出
撮影:三浦麻旅子
【作・演出】兼島拓也/かねしま・たくや
劇作家。1989年、沖縄市出身。2013年に演劇グループ「チョコ泥棒」を結成し、作・演出を担当。沖縄の若者言葉を用いた会話劇を得意とし、コメディやミステリを軸としたオリジナル作品の上演を行う。また、琉球舞踊家との演劇ユニット「玉どろぼう」としても活動。2022年、『ライカムで待っとく』(KAAT神奈川芸術劇場プロデュース)で、第30回読売演劇大賞優秀作品賞、第26回鶴屋南北戯曲賞・第67回岸田國士戯曲賞最終候補となり、2024年神奈川、京都、久留米、那覇にて再演。また、『刺青/TATTOOER』(脚本)を日英にて上演。その他の作品に『ふしぎの国のハイサイ食堂』(NHK、第31回オーディオドラマ奨励賞入選)、『Folklore(フォークロア)』(第14回おきなわ文学賞シナリオ・戯曲部門一席)など。
http://chocodorobo.com/
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ライカムで待っとく』(2022年)
脚本
撮影:引地信彦
【音楽】jujumo/じゅじゅも
土や風の匂い、夏の雨、恋心…誰しもの心に眠るそんな記憶と感情を呼び覚ます、透明感のある唄声と抒情豊かな音物語が特徴。沖縄県南部にある小さな聖地 “数珠森”を名前の由来にもち、その側で小さなパーラーもしつつ音楽生活を営むというライフスタイルも注目されています。CMやテレビの音楽も多数手掛けていて、映像に対する音作りも評価が高く、今年ドイツで開催された映画祭NIPPON CONNECTIONにライブで招待されるなど、台湾、韓国、上海と海外からの招待の多さにも、jujumoの音楽の普遍性が表れています。
https://jujumo.net/
◇「組踊(くみおどり)」とは…
「組踊」とは、唱え、音楽、踊りによって構成される歌舞劇。中国から琉球王国の新しい国王を任命するためやって来る冊封使(さっぽうし)の歓待するため、18世紀初に踊奉行(おどりぶぎょう)であった玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)が創始、1719年の尚敬王(しょうけいおう)の冊封儀礼の際に、『二童敵討』と『執心鐘入』の2演目が初めて演じられた。1972年、「組踊」は国の優れた芸能の一つであるとして、重要無形文化財に指定され、2010年にはユネスコの無形文化遺産にもなっている。
◇原作/組踊『花売の縁』あらすじ
首里の下級士族・森川の子は、さまざまな不幸が続いたため生計が立ちゆかず、妻・乙樽と幼子・鶴松を首里に残し、単身で遠く離れた山原の大宜味へと出稼ぎにでたが、その後、音信不通となってしまう。そうして12 年が経ち、良家の乳母として働き安定した生活を得ていた乙樽は、鶴松と共に夫を探す旅に出るが…。
掲載情報
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5/27 ステージナタリー|組踊「花売の縁」を原作に、白神ももこと兼島拓也が初タッグ
※12月1日[日]は【第38回NAHAマラソン】が開催されます。地域によっては
交通規制がございますので、ご確認のうえお早めにお出掛けください。
★★なはーとグルっとまーい対象公演★★
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