平成27年9月関東・東北豪雨災害では、鬼怒川において越水や堤防決壊等により浸水戸数は約一万棟、
孤立救助者数は約四千人となる等、甚大な被害が発生しました。
これを踏まえ、国土交通大臣から社会資本整備審議会会長に対して「大規模氾濫に対する減災のための
治水対策のあり方について」が諮問され、平成27年12月10日「大規模氾濫に対する減災のための治水対策
のあり方について~社会意識の変革による「水防災意識社会」の再構築に向けて~」が答申されました。
この答申では、「施設の能力には限界があり、施設では防ぎきれない大洪水は必ず発生するもの」へと
意識を変革し、社会全体で洪水に備える必要があるとしています。
この答申を踏まえ、平成27年12月11日に「水防災意識社会 再構築ビジョン」を策定しました。
また、平成28年8月には、台風10号等の一連の台風によって、北海道・東北地方の中小河川等で氾濫が発生し、
逃げ遅れによる多数の死者や甚大な経済被害が発生しました。
この災害を受け、とりまとめられた同審議会の答申を踏まえ、「水防災意識社会」の再構築に向けた取組を
中小河川も含めた全国の河川でさらに加速化させるため、
「大規模氾濫減災協議会」制度の創設をはじめとする「水防法等の一部を改正する法律」が平成29年6月19日に施行されました。
平成29年の水防法等の施行と合わせて、「水防災意識社会」の実現に向け、緊急的に実施すべき事項について実効性をもって着実に推進するため、
「水防災意識社会」の再構築に向けた緊急行動計画を平成29年6月20日に国土交通省としてとりまとめました。
また、平成30年7月豪雨では、広域的かつ同時多発的に河川の氾濫や土石流等が発生し、200名を超える死者・行方不明者と
3万棟近い家屋被害に加え、ライフラインや交通インフラ等の被災によって、甚大な社会経済被害が発生しました。
これを受けて取りまとめられた同審議会の答申では、関係機関の連携によるハード対策の強化に加え、大規模氾濫減災協議会等を
活用し、多くの関係者の事前の備えと連携の強化により、複合的な災害にも多層的に備え、
社会全体で被害を防止・軽減させる対策の強化を緊急的に図るべきである、とされています。
これらを踏まえ、「水防災意識社会」の再構築に向けた緊急行動計画を平成31年1月29日に改定しました。
国土交通省では、「水防災意識社会」の取組をより一層、充実・加速化させ、一刻も早い再構築をめざします。