河川管理者が主体となって行う治水対策に加え、氾濫域も含めて一つの流域として捉え、その河川流域全体のあらゆる関係者が協働し、流域全体で水害を軽減させる治水対策「流域治水」への転換を進めることが必要である。
このため、令和2年7月豪雨や令和元年東日本台風で甚大な被害を受けた9つの水系での「緊急治水対策プロジェクト」と同様に、全国の一級水系などにおいても、河川整備に加え、流域の市町村などが実施する雨水貯留浸透施設の整備や災害危険区域の指定等による土地利用規制・誘導等、都道府県や民間企業等が実施する利水ダムの事前放流等、治水対策の全体像について「流域治水プロジェクト」として示し、ハード・ソフト一体となった事前防災対策を加速してまいります。
令和元年東日本台風による
長野市穂保地先の堤防決壊、浸水被害状況
令和2年7月豪雨による
山形県大石田町の浸水被害状況
「総力戦で挑む防災・減災プロジェクトのとりまとめ(令和2年7月6日)を踏まえ、各一級水系において、国、流域自治体、企業等からなる流域治水協議会にて議論を進め、令和3年3月30日に全国109全ての一級水系などにて策定、全国一斉に公表しました。
今後、ハード・ソフト一体となった事前防災対策を加速するとともに、プロジェクトの内容やあらゆる関係者との協働体制の更なる充実を行います。
令和3年度末より、全国の一級水系の流域治水プロジェクトを一斉に更新し、流域の関係者の取組状況を「見える化」しています。
流域治水の代表的な取組の実施状況について指標を活用して見える化を行っています。
流域治水プロジェクトにおいて、グリーンインフラの取り組みを反映し、治水と環境の両立した取り組みをスタートしました。生物の多様な生息環境の保全・創出、地域の自然環境と調和する景観形成等の環境の取り組みについても流域のあらゆる関係者とともに推進してまいります。
遊水地や河道の掘削形状を工夫して、生物の生息・生育・繁殖の場となる湿地環境を保全・創出し、生態系ネットワークの形成を図る。
霞堤を適切に維持し、河川と流域を生息域とする魚類等の連続した環境を保全し、生物の多様性の維持を図る。
まちづくりと一体となって堤防や護岸を整備し、地域の歴史、文化及び観光基盤と調和する景観を保全・創出し、地域活性化を図る。