火山災害とは
わが国には第四紀(約260万年前から現代まで)に生成した火山が400以上あるといわれており、そのうちの111は活火山です。活火山については、気象庁・大学・国土地理院・その他の研究機関により監視・観測が行われています。
火山は、美しい景観や温泉の涌出などで一般に観光地となっていますが、噴火が起こると大きなエネルギーを放出し、それに伴う様々な現象が広範囲に災害を引き起こします。
火山活動に伴う現象
山体崩壊(磐梯山・福島県)
溶岩流(伊豆大島・東京都)
火山泥流(十勝岳・北海道)
火砕流(雲仙普賢岳・長崎県)
土石流(桜島・鹿児島県)
火山噴火対策砂防
火山は、ひとたび大噴火が起これば、広い範囲にわたり被害をもたらし、人命や財産を奪ってしまいます。砂防えん堤等のハード対策とともに、警戒避難体制の整備等のソフト対策からなる総合的な火山噴火対策が必要です。
噴火によって発生した火山泥流等、また降雨による土石流の発生に備えるため、様々な火山施設を設置し被害を最小限に食い止めます。
火山噴火物の流れを抑える「減勢工」、泥流等を安全な地域に導く「導流堤」、大きな岩石の流下を防ぐ「スリットタイプのえん堤」、泥流などを堆積させる「遊砂地」、流出物を安全に流下させる「流路工」などがあります。
導流堤と遊砂地
スリットタイプのえん堤と床固工
ハード対策とともに、警戒避難体制の構築に役立てるため、火山噴火に伴う土砂災害のシミュレーションをもとに土砂災害予想区域図(火山砂防ハザードマップ)の作成、リアルタイムハザードマップの提供体制の構築、監視カメラや各種センサーによる情報伝達体制の整備等を実施しています。
火山噴火に起因する土砂災害の防止・軽減のために、土砂法に基づく緊急調査の実施や監視カメラ等の監視機器の整備などのソフト対策、資機材の備蓄、除石などのハード対策について、「火山噴火緊急減災対策砂防計画」として策定しています。 さらに、新たな火口からの噴火など想定と異なる現象が発生した場合でも、緊急に土砂災害の範囲を計算する「火山噴火リアルタイムハザードマップシステム」の運用を行っています。
火山噴火時等における大規模土砂災害の発生に対して、迅速かつ的確に緊急減災対策を実施するため、一連の対応プロセスを土砂災害対策ナビゲーションシステムとして構築する等、DXによる支援ツール開発を推進していきます。