近年、福山市のホテル火災、長崎市のグループホーム火災、福岡市の診療所火災など、多数の死者が出る火災事故が続いています。これらの事故において被害が拡大した原因の一つとして、建築物が適法な状態で管理されていなかったことが掲げられていますが、こうした事態を踏まえ、建築基準法を改正し(建築基準法の一部を改正する法律(平成26年法律第54号))、平成28年6月1日から、新たな定期報告制度が施行されております。
〇建築基準法においては、建築確認・完了検査などの手続きを定めることで、建築物を使用する前における適法性をチェックする体制を整えています。
〇一方で、建築物の使用が開始された後も、引き続き、適法な状態を確保し続けることが重要であるという考え方から、定期的な調査や報告を求めることとしています。これがいわゆる「定期報告制度」です。
〇具体的には、建築物の損傷や腐食などの劣化状況の点検を基本としていますが、不適切な改変行為などによって、違反状態を生じていないかどうかのチェックも合わせて実施し、その結果を行政に報告することを建物所有者に義務づけています。
〇こうした法定の定期報告の実施に当たり、建築物の「調査」、建築設備・昇降機の「検査」については、それぞれ法令に基づく資格者でなければ実施できないこととされています。
〇避難上の安全確保等の観点から、
[1]不特定多数の者が利用する建築物及びこれらの建築物に設けられた防火設備
[2]高齢者等の自力避難困難者が就寝用途で利用する施設及びこれらの施設に設けられた防火設備
[3]エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機
は国が政令で一律に報告の対象としています。
〇このほか、地域の実情に応じ、特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体)が報告の対象を定めることができます。