平成28年4月20日、三菱自動車工業株式会社(以下「三菱自」という。)より、同社が製作した自動車の型式指定申請の際、本来の燃費値よりも良い値とするために、燃費・排出ガス試験において設定する走行抵抗値を法令で定めた試験方法と異なる不正な方法で算出し、かつ、これを不正に操作して国土交通省に提出していた旨報告があった。
また、三菱自の不正の発覚を受け、他の自動車メーカー及び輸入事業者に対し、同様の不正行為の有無について調査報告を求めたところ、5月18日、スズキ株式会社(以下「スズキ」という。)より、法令で定めた試験方法と異なる不正な方法で走行抵抗を測定していた旨報告があった。
経緯の詳細は以下のとおり。
平成28年 | ||
4月20日(水) | 【三菱自】 | 国の燃費試験における不正行為を国交省に報告 |
【国交省】 | 三菱自に詳細な調査を指示 | |
【国交省】 | 三菱自以外のメーカーに同様事案がないか調査・報告を指示 | |
4月26日(火) | 【三菱自】 | 国交省に2回目の報告及び記者会見 |
4月28日(木) | 【国交省】 | 自動車の型式指定審査におけるメーカーの不正行為を防止するためのタスクフォース(以下「タスクフォース」という)を設置 |
5月11日(水) | 【三菱自】 | 国交省に3回目の報告及び記者会見 |
5月13日(金) | 【国交省】 | 第2回タスクフォースを開催 |
5月18日(水) | 【三菱自】 | 国交省に4回目の報告及び記者会見 |
【国交省】 | 三菱自以外のメーカーに同様事案がないかの調査結果公表 | |
【スズキ】 | 国が定めた測定方法以外の方法で走行抵抗値を求めていたことについて国交省に1回目の報告及び記者会見 | |
【国交省】 | スズキに詳細な調査を指示 | |
5月25日(水) | 【国交省】 | 第3回タスクフォースを開催 |
5月31日(火) | 【スズキ】 | 国交省に2回目の報告及び記者会見 |
6月8日(水) | 【スズキ】 | 国交省に3回目の報告及び記者会見 |
6月10日(金) | 【国交省】 | 第4回タスクフォースを開催 タスクフォースの中間とりまとめを公表 |
6月17日(金) | 【三菱自】 | 国交省に5回目の報告及び記者会見 |
6月21日(火) | 【国交省】 | 軽4車種 排出ガス・燃費確認試験の結果を公表 |
【国交省】 | 三菱自に対し、諸元表燃費値の修正について指示 | |
【国交省】 | 不正行為のあった軽自動車4車種に係る諸元表燃費値の修正届出 | |
【国交省】 | 国土交通大臣より三菱自に対し、指示文書を手交 | |
6月24日(金) | 【国交省】 | 国土交通大臣よりスズキに対し、指示文書を手交 |
8月3日(水) | 【国交省】 | 第5回タスクフォースを開催 |
8月22日(月) | 【三菱自】 | 特別調査委員会報告書を踏まえ国交省に追加報告 |
8月30日(火) | 【国交省】 | 三菱自動車工業製及びスズキ製自動車の確認試験結果を公表 |
【国交省】 | 三菱自動車工業の現行販売自動車8車種に係る燃費値等の修正指示 | |
8月31日(水) | 【国交省】 | 第6回タスクフォースを開催 |
【国交省】 | 三菱自動車工業の現行販売自動車8車種に係る燃費値等の修正 | |
9月15日(木) | 【国交省】 | 三菱自に対し、指示文書(追加指示)を手交 |
9月16日(金) | 【国交省】 | タスクフォースの最終とりまとめを公表 |
【国交省】 | 自動車型式指定規則等の一部改正 | |
9月27日(火) | 【スズキ】 | 国交省に対し、再発防止策の進捗状況について報告 |
9月30日(金) | 【三菱自】 | 国交省に対し、再発防止策の見直しの内容及びその進捗状況について報告 |
10月31日(月) | 【国交省】 | 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示等の一部改正 |
12月16日(金) | 【国交省】 | 自動車の型式指定審査における不正行為の通報窓口を設置 |
12月21日(水) | 【スズキ】 | 国交省に対し、再発防止策の進捗状況について報告(2回目) |
12月22日(木) | 【三菱自】 | 国交省に対し、再発防止策の進捗状況について報告(2回目) |
平成29年 | ||
1月10日(火) | 【国交省】 | 「タスクフォース最終とりまとめ」フォローアップ会議開催 |
2月15日(水) | 【国交省】 | 「タスクフォース最終とりまとめ」の進捗状況公表 |
2月28日(火) | 【国交省】 | 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示の一部改正 |
3月3日(金) | 【国交省】 | 「道路運送車両法の一部を改正する法律案」を閣議決定 |
3月9日(木) | 【三菱自】 | 国交省に対し、再発防止策の進捗状況について報告(3回目) |
3月10日(金) | 【スズキ】 | 国交省に対し、再発防止策の進捗状況について報告(3回目) |
3月23日(木) | 【国交省】 | 自動車型式指定規則等の一部改正 |
5月19日(金) | 【国交省】 | 「道路運送車両法の一部を改正する法律案」が国会で可決・成立 |
5月26日(金) | 【国交省】 | 「道路運送車両法の一部を改正する法律案」公布・施行 (一部は6月15日(木)に施行) |
6月15日(木) | 【国交省】 | 道路運送車両法施行規則等の一部改正 |
6月30日(金) | 【スズキ】 | 国交省に対し、再発防止策の進捗状況について報告(4回目) |
7月3日(月) | 【三菱自】 | 国交省に対し、再発防止策の進捗状況について報告(4回目) |
7月4日(火) | 【国交省】 | 燃費表示に関する省エネ法関係告示の改正 |
三菱自等による燃費試験における不正行為が発生したことを受け、外部有識者の参画を得てタスクフォースにおける検討を行い、型式指定審査における不正行為の再発を防止するため、平成28年9月16日、「最終とりまとめ」を策定、公表しました。
・開催経緯
第1回 平成28年4月20日
第2回 平成28年5月13日
第3回 平成28年5月25日
第4回 平成28年6月10日
第5回 平成28年8月3日
第6回 平成28年8月31日
・「最終とりまとめ」公表の報道発表資料(平成28年9月16日)
・「最終とりまとめ」本文
・「最終とりまとめ」概要
・「中間とりまとめ」公表の報道発表資料(平成28年6月10日)
・「中間とりまとめ」本文
・「中間とりまとめ」概要
また、平成29年1月には最終とりまとめフォローアップ会議を開催し、会議での意見等を踏まえ、対策全体の進捗状況をとりまとめました。
・「最終とりまとめ」フォローアップについて(平成29年1月10日開催)
・「最終とりまとめ」の進捗状況公表の報道発表資料(平成29年2月15日)
・別紙
「自動車の型式指定審査におけるメーカーの不正行為を防止するためのタスクフォース」最終とりまとめを踏まえ、自動車の型式指定審査における不正行為の抑止と再発防止を速やかに図るため、平成28年9月、道路運送車両法に基づく省令等の一部改正を行いました。
・報道発表資料(平成28年9月16日)
・概要
・新旧対照条文
また、平成29年3月、型式指定申請において不正行為を行ったメーカー等に対しては、同様の不正行為の再発を防止するための措置が適切に講じられていることの確認を行うこことする旨の道路運送車両法に基づく省令等の一部改正を行いました。
・報道発表資料(平成29年3月23日)
・新旧対照条文
さらに、平成29年6月、型式指定の申請の際に、型式指定の申請に関する不正行為を防止するための措置が適切に講じられていることを証する書面を提出しなければならない者について、不正な手段により型式指定を受け、当該型式指定を取り消された自動車製作者等を追加する等の道路運送車両法に基づく省令の一部改正を行いました。
・概要
・新旧対照条文
乗用車の排出ガス・燃費試験法について、平成26年3月に国連において成立した国際基準(WLTP)を導入するため、平成28年10月、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示等の一部改正を行いました。
※ WLTP: Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure
・報道発表資料(平成28年10月31日)
・概要
また、WLTPの走行抵抗の測定方法を、現行のJC08での排出ガス・燃費試験法へ導入するため、平成29年2月、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示の一部改正を行いました。
・概要
・新旧対照条文
なお、走行環境の違いに対応した新たな燃費表示方法の導入について、平成29年3月に開催された経済産業省と国土交通省の合同会議において提言され、パブリックコメントを実施後、平成29年7月、省エネ法関係告示(※)を改正しました。
・報道発表資料(平成29年7月4日)
・別紙1
・別紙2
(※)改正後の告示全文
・ 乗用自動車のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等(平成二十五年経済産業省・国土交通省告示第二号)
・ 貨物自動車のエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等(平成二十七年経済産業省・国土交通省告示第一号)
(参考)
・「総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会自動車判断基準ワーキンググループ」「交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会自動車燃費基準小委員会」合同会議(第2回)(平成29年3月22日)
・資料1 走行環境に応じた燃費表示の導入について
自動車メーカーによる不正行為の抑止力を強化する観点から、不正な手段により型式の指定を受けた場合において当該指定を取り消すことができることとするとともに、虚偽の報告等に対する罰則を強化する「道路運送車両法の一部を改正する法律案」が、平成29年3月3日閣議決定されました。本法律案は国会で審議され、平成29年5月19日に原案どおり可決・成立し、5月26日公布・施行(一部は6月15日施行)されました。
・報道発表資料(平成29年3月3日)
・概要
・要綱
・案文・理由
・新旧対照表
・参照条文
自動車の型式指定審査における不正行為に関する情報をご存知の場合には、以下の通報窓口URLから通報様式をダウンロードして必要事項(通報者名、メーカー名、部署、不正行為に関する情報等)をご記入のうえメール等により通報ください。
通報者の個人情報は厳重に保護いたしますので、型式指定審査におけるメーカーの不正行為を抑止、防止するためご協力をお願い申し上げます。
通報窓口URL:http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk8_000009.html