北海道:アイヌ関連施策 - 国土交通省

北海道

アイヌ関連施策

1.アイヌの人々について

 
 アイヌの人々は、少なくとも中世末期以降の歴史の中でみると、当時の「和人」との関係において北海道に先住していたと考えられており、独自の伝統を有し、アイヌ語等を始めとする固有の文化を発展させてきた民族です。しかしながら、アイヌの人々の民族としての誇りの源泉であるその伝統や文化は、松前藩による支配や、明治以降、我が国が近代国家として出発し「北海道開拓」を進める中での、いわゆる同化政策などにより決定的な打撃を受け、今日では十分な保存や伝承が図られているとは言い難い状況にあります。
 
 
2.アイヌ施策推進法の成立
 平成19年、国際連合において「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択され、その翌年には衆参両院の本会議において「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が行われるなど、国内外において、先住民族への配慮を求める要請が高まっています。
 また、アイヌの人々からは、従来の文化振興や福祉政策に加え、地域振興、産業振興、観光振興等を含めた様々な課題を早急に解決することが求められており、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策を総合的に推進していく必要があります。
 このような趣旨から、従来のアイヌ文化振興法に基づいた文化振興に加えて、地域振興、産業振興、観光振興等を含む多岐にわたる施策を総合的に推進するための「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律(アイヌ施策推進法)」が令和元年5月24日に施行されました。これに伴い、アイヌ文化振興法は廃止されています。また同年9月には「アイヌ施策の総合的かつ効果的な推進を図るための基本的な方針」が定められました。

 
3.指定法人の指定
  アイヌ施策推進法の施行を受け、国土交通大臣及び文部科学大臣から委託を受けて民族共生象徴空間(ウポポイ)を管理し、また、アイヌ文化振興法に由来するアイヌ文化の振興等に係る業務を行う指定法人として、令和元年5月24日に公益財団法人アイヌ民族文化財団が指定されています。
 同財団では、アイヌ語を含むアイヌ文化の振興やアイヌの伝統・文化に関する知識の普及啓発を着実に進めるため、様々な事業を実施しており、このうち、1/2を国土交通省及び文部科学省が補助しています(残りの経費は、北海道が補助しています。)。
 

 4.民族共生象徴空間(ウポポイ)
(1)ウポポイの概要
 アイヌ文化の復興等に関するナショナルセンターとして、アイヌの歴史、文化等に関する国民各層の幅広い理解の促進の拠点並びに将来へ向けてアイヌ文化の継承及び新たなアイヌ文化の創造発展につなげるための拠点となるよう、令和2年7月12日、北海道白老町に民族共生象徴空間(愛称:ウポポイ)がオープンしました。
 ウポポイは、「国立アイヌ民族博物館」、「国立民族共生公園」、「慰霊施設」などの施設で構成され、アイヌの文化や世界観、自然観等を体験していただき、理解を深めていただけるよう、園内の各所で様々なプログラムを用意しています。
 
  ・国立アイヌ民族博物館・・・文部科学省所管
  ・国立民族共生公園、慰霊施設・・・国土交通省所管

        
                       ウポポイPRキャラクター「トゥレッポん」


(2)慰霊施設において管理するアイヌ遺骨等の返還について
 過去に発掘・集約され、大学が保管してきたアイヌの人々の御遺骨等については、令和元年10月まで、各大学及び文部科学省において、それぞれ個人が特定された御遺骨及び出土地域が特定された御遺骨の返還申請を受け付けてきましたが、返還申請がなかった御遺骨等については、尊厳ある慰霊の実現を図るとともに、アイヌの人々による受入体制が整うまでの間の適切な管理を行うため、同年11月から12月にかけて、ウポポイ内の慰霊施設に納められました。
 これに伴い、国土交通省において「大学の保管するアイヌ遺骨等の出土地域への返還手続に関するガイドライン」(平成30年12月)等に基づき、返還手続を行っています。
 
 ・慰霊施設において管理するアイヌ遺骨等の返還手続について
  
【アイヌ遺骨等の返還に関する資料等】
個人が特定されたアイヌ遺骨等の出土地域への返還等の手続に関する指針(平成31年4月)(内閣官房アイヌ総合政策室HPへリンク)
大学の保管するアイヌ遺骨等の出土地域への返還手続に関するガイドライン(平成30年12月)(内閣官房アイヌ総合政策室HPへリンク)
個人が特定されたアイヌ遺骨等の返還手続に関するガイドライン(平成26年6月)(内閣官房アイヌ総合政策室HPへリンク)
慰霊施設に集約された大学が保管するアイヌの人々の御遺骨の数について(文部科学省研究振興局HPへリンク)
 

(3)ウポポイ誘客促進戦略について
 より多くの方々にウポポイへ訪れていただくため、令和5年10月から令和6年3月まで4回にわたり、「ウポポイへの誘客促進に関する有識者検討会」を開催し、観光分野における有識者等からウポポイへの誘客に関する助言等をいただきました。
 これを踏まえ、「ウポポイ誘客促進戦略」を策定しました。
 ・ ウポポイ誘客促進戦略(概要版)
 ・ ウポポイ誘客促進戦略(本文)


5.アイヌの伝統・文化に関する知識の普及啓発
 国土交通省北海道局では、アイヌの伝統・文化に関する知識の普及啓発に係る施策を所掌しており、アイヌ民族文化財団への補助金等により施策を推進しています。

(事業例)
〇 イランカラㇷ゚テキャンペーン
 アイヌ文化等へ理解の促進と浸透を図るため、アイヌ語の挨拶の言葉である「イランカラㇷ゚テ」をキャッチフレーズとして、継続的・持続的なキャンペーンを展開し、アイヌ文化等への親近感や共感を高めるための取り組みを実施します。 
 ・空港等における当財団所蔵資料の展示
 ・札幌駅アイヌ文化情報発信コーナーでの施設情報等の発信 等

〇 アイヌ文化交流センター事業
 首都圏に居住するアイヌの人たちの交流活動やアイヌ文化の伝承活動などを支援するとともに、一般の人々へのアイヌ文化などに関する普及啓発、さらに、アイヌ文化に関する情報収集を行う「アイヌ文化交流センター」を運営することにより、アイヌの伝統や文化に関する理解の促進を図ります。
 アイヌ文化交流センター | 公益財団法人アイヌ民族文化財団 (ff-ainu.or.jp)


 
◆関連リンク
 
 ◇内閣官房アイヌ総合政策室
 ◇法務省(人権擁護局/アイヌの人々に対する偏見や差別をなくそう)
 ◇文化庁(アイヌ文化の振興)
 ◇内閣府(アイヌ政策)
 ◇北海道(アイヌ政策推進局アイヌ政策課)
 ◇国土交通省北海道開発局(アイヌ施策)

 


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