労働者災害補償保険法に基づく休業(補償)等給付に係るスライド率
最終更新日:令和6年9月30日
労働者災害補償保険の休業補償給付、複数事業労働者休業給付、休業給付(以下「休業(補償)等給付」と表記します。)では、給付額の算定の基礎となる給付基礎日額が変動するしくみがあります。
ここでは、休業(補償)等給付において賃金水準の変動を給付基礎日額に反映させるスライド制(休業スライド)についてご案内します。
- 休業(補償)等給付および休業特別支給金の制度全般については、こちらをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/pamphletfaq.html - 労働基準法に基づく休業補償のスライド率については、こちらをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/slide.html
休業スライドとは
労災事故等で療養中の受給者の方が休業した場合、労災保険では休業(補償)等給付や休業特別支給金が支払われます。
この休業が長期間にわたり、賃金水準の変動があった場合に、その変動を給付額に反映させるため算定事由発生日(労働者災害補償保険法に基づき、負傷の原因である事故が発生した日又は診断によって疾病の発生が確定した日)の属する四半期を基準として、以降の四半期で賃金水準が110%を超えた場合又は90%を下った場合には、給付基礎日額にその変動率(スライド率)を乗じた休業給付基礎日額を用いて給付を行うこととされています(労働者災害補償保険法第8条の2第1項)。
賃金水準の変動は、毎月勤労統計のうち調査産業計の「きまって支給する給与」の四半期(1月~3月、4月~6月、7月~9月、10月~12月)ごとの1人当たり平均額(以下「平均給与額」と表記します。)を用いて算定します。
この休業が長期間にわたり、賃金水準の変動があった場合に、その変動を給付額に反映させるため算定事由発生日(労働者災害補償保険法に基づき、負傷の原因である事故が発生した日又は診断によって疾病の発生が確定した日)の属する四半期を基準として、以降の四半期で賃金水準が110%を超えた場合又は90%を下った場合には、給付基礎日額にその変動率(スライド率)を乗じた休業給付基礎日額を用いて給付を行うこととされています(労働者災害補償保険法第8条の2第1項)。
賃金水準の変動は、毎月勤労統計のうち調査産業計の「きまって支給する給与」の四半期(1月~3月、4月~6月、7月~9月、10月~12月)ごとの1人当たり平均額(以下「平均給与額」と表記します。)を用いて算定します。
休業スライド率の算定方法
休業(補償)等給付の算定事由発生日の属する四半期の平均給与額と、それ以後の四半期の平均給与額とを比較します。
この変動が110%を超えた場合又は90%を下った場合(±10%を超えて変動した場合)には、その変動した率(スライド率)を次の次の四半期に支給事由の生じる休業(補償)等給付から給付基礎日額に乗じます。
なお、±10%を超えて変動した場合には、その変動に至った四半期の平均給与額をスライド率算定の基礎として以後の四半期の平均給与額と比較し、複数回±10%を超えた変動が生じた場合には、各々のスライド率を乗じた「通算スライド率」として給付基礎日額に乗じることとなります。
この変動が110%を超えた場合又は90%を下った場合(±10%を超えて変動した場合)には、その変動した率(スライド率)を次の次の四半期に支給事由の生じる休業(補償)等給付から給付基礎日額に乗じます。
なお、±10%を超えて変動した場合には、その変動に至った四半期の平均給与額をスライド率算定の基礎として以後の四半期の平均給与額と比較し、複数回±10%を超えた変動が生じた場合には、各々のスライド率を乗じた「通算スライド率」として給付基礎日額に乗じることとなります。
休業スライド率適用の具体例
- ※スライド制のしくみをご案内するため、ここでは変動幅の大きい架空の平均給与額を用いています。
ある受給者の方の算定事由発生日が属する四半期を四半期Aとし、その次の四半期以降はB~Gで表しています。
白色の〇、黄色の〇、緑色の〇は平均給与額の変動幅の推移を表しています。
- 四半期Bでのスライド率の算定
四半期Aの平均給与額(234,567円)と四半期Bの平均給与額とを比較すると、
265,061円÷234,567円=1.130001…≒113%
となり、110%を超えたため、四半期Dで引き続き休業し、休業(補償)等給付を引き続き受給する際には、給付基礎日額に113%を乗じた額(休業給付基礎日額※)を基に給付が行われます。 - 四半期Cでのスライド率の算定
四半期Bで10%超えの変動が生じたため、四半期Cの平均給与額は四半期Bの平均給与額と比較します。
280,452円÷265,061円=1.058065…≒105%
となり、110%を超える又は90%を下る状態には至らなかったため、四半期Eにおいては引き続き四半期Bで変動したスライド率113%が用いられます。 - 四半期Eでのスライド率の算定
四半期B以降四半期Dまでは、平均給与額の比較で±10%を超える変動が生じていないため、四半期Eの平均給与額は四半期Bの平均給与額と比較します。
233,456円÷265,061円=0.880763…≒88%
となり、90%を下回ったため、四半期Gから改定されたスライド率が用いられます。
四半期Bのスライド率と四半期Eのスライド率を掛け合わせた通算スライド率となります。
113%×88%=99.4400%
- ※休業給付基礎日額が自動変更対象額(最低保障額)を下回る場合には、最低保障額を基に給付が行われます(特別加入者を除く)。
また、療養開始から1年6か月を経過した日以後は年齢階層別の最低・最高限度額の対象となります(特別加入者を除く)。
詳しくはこちらをご覧ください。
労災年金給付等に係るスライド率等について
各適用期間における通算スライド率
厚生労働省では上記のように四半期ごとにスライド率の算定を行っています。
算定を行った四半期の次の次の四半期にあたる四半期(適用期間)に用いられる通算スライド率を
算定事由発生日の属する四半期順にまとめた一覧表は以下のとおりです。
- 令和6年10月から同年12月までに支給事由の生じた休業(補償)等給付に係る通算スライド率一覧表[PDF形式][75KB]
- 令和6年7月から同年9月までに支給事由の生じた休業(補償)等給付に係る通算スライド率一覧表[PDF形式][73KB]
- 令和6年4月から同年6月までに支給事由の生じた休業(補償)等給付に係る通算スライド率一覧表[PDF形式][74KB]
- 令和6年1月から同年3月までに支給事由の生じた休業(補償)等給付に係る通算スライド率一覧表[PDF形式][75KB]
- 令和5年10月から同年12月までに支給事由の生じた休業(補償)等給付に係る通算スライド率一覧表[PDF形式][75KB]
- 令和5年7月から同年9月までに支給事由の生じた休業(補償)等給付に係る通算スライド率一覧表[PDF形式][274KB]
- 令和5年4月から同年6月までに支給事由の生じた休業(補償)等給付に係る通算スライド率一覧表[PDF形式][179KB]
- 令和5年1月から同年3月までに支給事由の生じた休業(補償)等給付に係る通算スライド率一覧表[PDF形式][74KB]
- 令和4年10月から同年12月までに支給事由の生じた休業(補償)等給付に係る通算スライド率一覧表[PDF形式][74KB]
- ※ここでは、最新の適用期間以前2年分の通算スライドを掲載しています。掲載されている期間よりも前に適用されていた通算スライド率に関する内容は下記の労災保険財政数理室までお問い合わせください。
- ※休業(補償)等給付を受給中の方で、個別の給付に関する内容は管轄の労働基準監督署へお問い合わせください。
お問い合わせ先(制度について)
労働基準局労災管理課
労災保険財政数理室 調査係
TEL:03-5253-1111(内線5455)