令和3年度モニター報告に対する厚生労働省の考え方

令和3年度 モニター報告に対する厚生労働省の考え方

令和3年度の厚生労働行政モニターの皆様からご提出いただいた報告の中から、厚生労働省の考え方などを記載いたしました。

報告の概要

 産業医をしているとかかりつけ医から患者さんへの情報提供が不十分と感じるときが多々あります。総合診療医のように患者さんを診ることのできるかかりつけ医から、病気の検査値しかみないなんちゃってかかりつけ医まで、同じかかりつけ医でも質の差が激しいです。もっと総合診療医のような「人」を診ることができる医師が増えて、評価されるようになり、なんちゃってかかりつけ医は減ることを願っています

当省の考え方

 ご意見をいただきありがとうございます。
 「かかりつけ医」については、これまで厚労省として
・「上手な医療のかかり方」の観点から国民を対象に「かかりつけ医」を持つことの大切さの周知・啓発
・「かかりつけ医機能」が有効に機能している事例の収集・横展開
などを進めているところであり、引き続き、患者・医療者双方にとってかかりつけ医機能が有効に発揮されるための具体的な方策について議論を深めてまいりたいと思います。
 また、総合診療医については、適切な初期対応と必要に応じた継続医療を全人的に提供することを期待し、総合診療専門医を新専門医制度における基本領域の一つに位置づけるほか、令和2年度から、
・総合診療研修のプログラム責任者を養成、
・へき地・離島等における総合診療研修を支援、
・総合診療医を養成・確保するための拠点(総合診療医センター)を整備し、一貫した指導体制のもと、卒前教育から専門研修やその後のキャリアパスの構築等を支援、
する事業を行っております。

(参考)上手な医療のかかり方.jp

報告の概要

 コロナ禍で児童虐待の件数が増えていることがあって、「189」の存在をよく目にします。どこからが虐待なのか、各家庭で認識が異なることもあり、通報を躊躇することがあると思います。通報によって子どもの命が救えるのであればいいのですが、通報された側の親の気持ちを考えると複雑で、虐待としつけの線引きがとても手難しいと思います。

当省の考え方

 ご意見をいただきありがとうございます。
 虐待としつけの区別が困難な場合もあると思われますが、児童相談所虐待対応ダイヤル「189」では、お寄せいただいた情報を端緒として、児童相談所において調査等を行い適当な対応を行いますので、通告者において虐待かどうかを判断する必要はありません。児童の安全確保を最優先するため、少しでも児童の安全・安心が疑われると思われる場合には、「189」まで通告・相談いただきますようお願いいたします。 

報告の概要

  コロナ禍で産後支援を受けられる機会や、同じ母親同士の交流の場がほとんどない。snsや支援センターなどを自分で検索して孤独にならないようにしてるが、もう少しあるといい。産後ケアをもっと手厚くしてほしい。

当省の考え方

 ご意見をいただきありがとうございます。
 妊産婦が孤立を感じることなく、安心して妊娠・出産・子育てをできるようにするためには、妊産婦への産前産後におけるケアは重要な役割を果たすものと考えています。このため、産後うつなどの不安を抱える妊産婦に寄り添った支援を行う観点から、令和3年4月から施行した改正母子保健法を踏まえ、産後ケア事業の全国展開に取り組んでいます。厚生労働省としては、引き続き、各自治体と連携しながら、妊娠期から子育て期に至るまでの、地域における切れ目ない支援体制の構築に取り組んでまいります。
 また、厚生労働省では、実施主体を市町村とし、乳幼児やその保護者の方同士の交流の場で、子育てに関する相談・助言や情報提供、講習などを受けることができる地域子育て支援拠点事業を実施しています。詳細につきましては、お住まいの市町村へお問い合わせください。

報告の概要

 男性の育児参画施策について、新たな休業制度が導入されましたが、もっと大胆な施策を打っても良かったと思っています。産前産後の8週間での取得が多いから、その時期に新たな施策というのは理解しないわけでもないですが、”その時期(産後すぐ)しか面倒を見ない”というのが実態で、本質的な問題であると考えます。また一方で、在宅勤務の活用など子育てのために休業しなければならない時代でもないと考えるので、子育てしながら働くための施策充実の必要性を感じます。

当省の考え方

 ご意見をいただきありがとうございます。
 少子高齢化が急速に進展する中で、出産・育児等による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できる社会を実現することが重要な課題となっています。
 しかし、育児のための休暇・休業の取得を希望していた男性労働者のうち、育児休業制度を利用できなかった者の割合が約4割という調査があり、労働者の休業取得の希望が十分かなっていない現状があります。このことから、男性の取得ニーズの高い、子の出生直後の時期について現行制度よりも柔軟で取得しやすい新たな制度を創設しました。このような取組を進めることにより、出生直後の時期以降についても男性の育児休業の取得が進み、男女ともに育児休業を取得しやすい雇用環境整備等を図ることで、女性の雇用継続や、男女間の育児・家事分担の偏りの是正につながると考えています。
 また、育児・介護休業法では仕事と子育ての両立支援施策として、育児短時間勤務や所定外労働の制限など、様々な制度を定めています。
今後とも、育児・介護休業法の着実な施行に取り組んでまいります。

報告の概要

 重複障がい者でないと利用できないサービスが多すぎること。学問の自由が日本国憲法第23条で保障されているのに学校までは移動支援が利用できるのに、学校の授業などにはヘルパーさんを利用できないことが納得できない。

当省の考え方

 ご意見をいただきありがとうございます。
 障害のある方の修学中の介護は、障害者差別解消法に基づく教育機関等による「合理的配慮」が求められていることや、教育と福祉の役割分担のあり方といった課題があることから、障害福祉サービスにおける個別給付の対象としておりませんが、こうした支援につきましては、文部科学省と十分連携しつつ取り組んでまいります。

報告の概要

 私は60代になったが、60代前半はまだまだ働ける人が多いと思うのにアルバイト採用などで門前払いされることが多くなった。年をとるほど個人差は大きくなるのに年齢だけではじかれる実態は改善されるようになってほしいと思う。年金の支給開始も60代前半からの時代は終わりつつある。若い世代は減りつつあるし子育て世代は忙しく働き余力がない。子育てがほぼ終わり精神的にも余裕を取り戻した60代を労働力として活用できる仕組み作りを進めてほしい。

当省の考え方

 ご意見をいただきありがとうございます。
 個々人の能力、適性を判断して募集・採用していただき、一人ひとりにより均等な働く機会が与えられるようにするため、労働者の募集及び採用の際には、労働施策総合推進法第9条により、原則として年齢を不問としなければなりません。法令に違反する場合には、助言、指導、勧告などの措置をとることがありますので、年齢を理由に応募を断られた場合には、お近くのハローワークまでご相談ください。
 高年齢の方の就職支援については、ハローワークの生涯現役支援窓口等において、おおむね60歳以上の求職者に対する就労支援を行っています。長期失業高年齢求職者など課題を抱える者をチーム支援の対象者として選定し、高年齢者のニーズや年金等の社会保障制度等を踏まえた職業生活の再設計を行い、支援チームによる効果的なマッチング支援を実施しています。今後とも、必要な取組を進めてまいります。

報告の概要

 年金はまだ受給していないが、申請しないともらい損ねる、という話をよく聞く。働き方によっていろいろなパターンがあると思うので、わかりやすいものをHP上で確認できるようにしたり、資料をねんきん定期便と一緒に郵送してほしい。(自分でいろいろ検索するのは時間も手間もかかるので)

当省の考え方

 ご意見をいただきありがとうございます。
年金については、受給開始年齢の到達前に請求書を送付し、請求案内を行っています。その際、引き続き受給せずに、受給開始時期を繰り下げることで、一定の増額が可能となることや、在職により一定の給与所得がある場合には、相当額が年金から減額される場合があることなどについて、資料を同封し周知しています。
 また、令和4年3月からは、老齢年金を未だ請求されていない66歳以降の方に対して、毎年誕生月の前月に、請求のご案内とともに、引き続き受給せずに受給開始時期を繰下げることで増額される年金の見込額をお知らせし、多様な年金受給方法の周知及び請求忘れの防止を図る取組を 進めています。
 保険料の納付実績や将来の給付等に関する情報を提供している「ねんきん定期便」においても、年金受給の繰下げができることや、繰下げを選択した場合の年金見込額等をお知らせしています。
 また、日本年金機構のホームページにおいても、年金給付に関する様々な情報を発信しており、引き続き分かりやすい周知に努めてまいります。

報告の概要

 健康保険証代わりにマイナンバーカードを使える仕組みの本格運用が令和3年10月20日から始まりました。マイナンバーカードの普及を図るための取り組みとなります。必要なシステムを導入済みの医療機関が全体の約8%しかなく、利用できる医療機関が当面限られる事に落胆しました。医療機関はマイナンバーカード保険証により過去の処方薬や特定健診の情報を見て治療に活かすことが出来、患者自身も処方薬などの履歴を見られることは有益と考えます。世界的な半導体不足で機械が行き渡っていない背景はあるようですが、政府が目指す2022年度末までに全国の医療機関への導入を実現させて下さい。

当省の考え方

 ご意見をいただきありがとうございます。
 厚生労働省として、2023年3月末までに概ね全ての医療機関及び薬局へのシステムの導入を目指しております。
 より多くの医療機関・薬局に早期に導入していただけるよう、引き続き取り組んで参ります。

報告の概要

 都市部と地方の医療格差を少なくして欲しいと思う。特に産婦人科で分娩できる病院が少ないため、市外に行く必要があり、陣痛が来てから病院に向かうことに対して不安を感じる。

当省の考え方

 ご意見をいただきありがとうございます。
 厚生労働省では、各地域において必要な医療を受けることができる体制を構築することが重要と考えており、各都道府県において医療計画を策定し、これに基づく取り組みを進めるとともに、国において補助金等による支援を実施しています。中でも、周産期医療については、都道府県が医療計画を作成し、分娩数や医療資源の状況など、地域の実情に応じて適切な周産期医療体制の整備を図ることとしています。妊産婦・胎児のリスクや疾患の種類に応じた医療機関の役割分担の他、地域によっては、分娩取扱施設の集約化・重点化が進んでいますが、こうした取組も、医師の勤務環境改善等を行い、安全な周産期医療体制を整備する観点から進められているものと考えています。引き続き、都道府県と連携し、安心・安全に出産ができる環境の整備に努めてまいります。

報告の概要

 実家の母が91歳で要介護3と判定されている。自宅で暮らしているが、必要なサービスを受けられることを知らずにいるように感じる。情報を知っているのとそうでないのとでは大きな差があるので受けられるサービスを知らせてほしい。

当省の考え方

 ご意見をいただきありがとうございます。
 介護保険サービスに係る情報については、各市町村に設置される地域包括支援センターで必要な情報を提供しています。地域包括支援センターは、地域の高齢者の総合相談を実施しており、専門知識を持った職員が、高齢者が住み慣れた地域で生活できるように介護サービスや日常生活支援などの相談に応じています。現在、全国で5,351か所が設置されています。
 また、介護保険法に基づく介護サービスの情報公表制度では、介護保険を利用するご本人やそのご家族の方が、さまざまサービスや介護サービス事業所等に関する情報について比較検討を行い、その中から自らのニーズに合致した事業者を適切に選択することができるよう支援することを目的として、都道府県等は介護サービス事業所等の基本情報や運営情報を公表することとなっています。都道府県等は、「介護サービス情報公表システム」を通じて介護サービス事業所等の基本情報等を公表しており、地域の介護サービス事業所等の検索や詳細情報を閲覧できるようになっていますのでご活用ください。

(参考)介護サービス情報公表システムURL
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/

報告の概要

 発達障害児の障害者手帳を持たない境界性の障害児も負担は多く障害児通所支援事業を利用しているが税制や負担は重く、なにか軽減措置をお願いしたいです。障害児通所支援事業でも療育の場でも学習支援も取り入れていけないでしょうか。

当省の考え方

 ご意見をいただきありがとうございます。
 現在の障害福祉サービス等の利用者負担については、所得に応じて一月当たりの負担限度額を設定し、これとサービス費用の一割とを比較して低い方の額としており、その負担が過剰なものとならないようにしています(負担上限月額は、市町村民税非課税世帯:0円、市町村民税所得割額16万円未満課税世帯:4600円、市町村民税所得割額16万円以上課税世帯:37200円)。障害児通所支援等に係る利用者負担の在り方については、障害者総合支援法の趣旨やこれまでの利用者負担の見直しの経緯、障害者等の家計の負担能力、医療や介護等の他制度の利用者負担とのバランス等を踏まえつつ、制度の持続可能性や、障害福祉制度に対する国民の理解や納得を得られるかどうかという点等にも留意するなど、様々な観点を踏まえた議論が必要な課題であると考えています。

 児童福祉法において、障害児通所支援のうち放課後等デイサービスについては、「生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜」を行うものとして規定しており、厚生労働省が定めた放課後等デイサービスガイドラインを踏まえつつ、具体的な活動内容は各事業所で決めることとしています。放課後等デイサービスにおいては、子ども一人ひとりの放課後等デイサービス計画に沿って、基本活動である「自立支援と日常生活の充実のための活動」「創作活動」「地域交流の機会の提供」「余暇の提供」を複数組み合わせて支援を行うこととしています。ご意見いただいた学習支援については、各事業所がこれらの基本活動を行う際に、必要に応じて活動の一部として取り入れて行われているものと承知しています。

報告の概要

 昨年からのコロナ禍で雇用も安定しておらず、休業など余儀なくされた会社へ従業員へ雇用調整助成金があったことで、少しは倒産や失業をせずになんとかなったと思うように感じる。ただ、申請に際して、準備する書類が多かったり、申請しても支給まで時間がかかったというニュースなども目にすることもあったため、せっかくの施策なのに、もったいない気がした。正社員になりたくてもなれない、非正規雇用者への、就業支援や技術講習などハローワークなどがやっているとは思うが、宣伝が足りないように思う。

当省の考え方

 ご意見をいただきありがとうございます。
 雇用調整助成金の申請については、コロナ特例として申請書類等について大幅に簡素化しており、引き続き事業主の申請手続きの負担軽減と支給事務の迅速化を図ってまいります。また、再就職、転職、スキルアップを目指す方が、月10万円の生活支援の給付金を受給しながら、無料の職業訓練を受講する求職者支援制度については、ハローワークでのきめ細かな情報提供や、インターネット・SNSを活用した周知・広報等に取り組んでおり、必要な方に制度を利用いただけるよう、引き続き努めてまいります。

報告の概要

 60歳までの定年制が65歳に引き上げられ70歳にまでなるような流れが気になります。年金制度による影響と思われますが60歳からの支給にしていただきたい。少子高齢化の為等と理由にしていますが、こんな事は相当前からわかっていた事です。納めらる額は決まっていますので不足分は別の税金から融通させるなど動いていただきたい。割に合わない年金制度は若者が離れていくと思います。

当省の考え方

 ご意見をいただきありがとうございます。
 老齢厚生年金の支給開始年齢については、人口の少子高齢化が進む中で、将来の保険料負担の増大を抑えることが必要であることや、高齢者雇用の進展を踏まえ、平成6年改正において定額部分の支給開始年齢を、また、平成12年改正において報酬比例部分の支給開始年齢を、段階的に60歳から65歳まで引上げることとなりました(男性は令和7年度、女性は令和12年度に引上げ終了予定)。
 令和2年5月に成立した年金制度改正法では、長期化する高齢期の経済基盤を充実するという基本的な考え方のもとに、在職老齢年金制度の見直し、在職定時改定の導入、年金受給開始時期の選択肢の拡大といった改善を行いました。
 今後とも年金制度が社会経済の構造変化に対応して、高齢期の経済基盤の確保に資するものとなるよう引き続き取り組んでまいります。