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未来(あした)のつぼみ
過去と未来をつなぐ「援護行政」に携わる
大きな制度改正に限らず、日々の地道な積み重ねが厚労行政の可能性を広げています。ここでは、厚生労働省の若手職員たちの取り組みや気づきを紹介します。
石島 天
社会・援護局援護・業務課企画法令係
私は、昨年の4月に厚生労働省に入省した2年目の職員です。当初はこども分野に携わりたいと考えていた私が触れた、「援護行政」の奥深さをご紹介します。
皆さまは「援護」と聞いて、何の援護を思い浮かべるでしょうか。実は厚労省では、先の大戦の戦傷病者や戦没者遺族の皆さまへの援護を所管しています。そのほかに戦没者の追悼、戦没者遺骨の収集、慰霊巡拝なども援護行政の一つです。
入省した当初、「未来」のこどもを見つめるつもり全開だった私は援護行政の世界に飛び込み、突然「過去」の大戦を見つめることになり、戸惑いました。これをお読みいただいている方のなかにも、「援護行政、歴史の話。おじいちゃん・おばあちゃんから聞く話」と思った方も少なくないのではないでしょうか。そんな考えは、いい意味で裏切られます。
現在もまだ、大戦で実際に傷病を負われて支援を受けている方が確実にいます。海外に残されたご遺骨がたくさんあります。目立たないかもしれませんが、昨年には「戦没者等の妻に対する特別給付金支給法」、「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律」が改正され、「過去を見つめる援護の制度」は新しくなっています。決して、ただの79年前の話ではないのです。
私自身、日々の業務のなかで、先の大戦の歴史やこれまでの援護行政の経緯など「過去」を勉強しながら、これからどうすれば遺族の皆さまが給付金などの援護をより受け取りやすいのか、手続きのデジタル化やマイナンバー制度とのかかわり方も踏まえた法令・制度のあり方を検討しています。戦争体験者の方々が少なくなっていくなかで、いかにして戦中・戦後の記憶をこれからの世代に継承していくかという課題を意識する機会も多くありました。
日々の業務の端々に、各地での追悼式などでご遺族を目の前にする瞬間に、その場にいる全員が「過去」と「未来」を同時に見つめているのだと強く感じます。人の一生を支える厚労省だからこそ、過去と未来をつなげる援護行政を担っているのではないか。そう感じながら、脈々と続く援護行政の未来に、今後も携わっていきたいと思います。
遺骨引渡式の様子
出典: 広報誌『厚生労働』2024年月10月号 発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト) 編集協力 : 厚生労働省 |