広報誌「厚生労働」2024年9月号 食事にひそむキケン|厚生労働省

食事にひそむキケン~おいしく安全に食べるヒント~

第6回テーマ:植物 毒キノコ

たびたびニュースになる食中毒事件。発生しやすい時期や調理・保存方法などのポイントを押さえておけば防げるはず。
それぞれの時期に起きやすい食中毒と、その予防方法などについて紹介します。

確実に判断できないキノコは食べない!

ツキヨタケは大型の毒キノコで、傘は黄褐色から紫褐色です。ブナやイタヤカエデなどに重なり合って発生し、ヒラタケやムキタケ、シイタケと間違えて食べてしまう人が少なくありません。食後30分~1時間程で嘔吐や下痢、腹痛など消化器系中毒を起こし、幻覚痙攣を伴う場合もあります。岩手県では「つきよ」、秋田県では「ひかりだけ」とも呼ばれます。

クサウラベニタケは広葉樹が生えている場所の地面で見られ、傘は灰色から黄土色、茶色です。食用のウラベニホテイシメジやホンシメジ、ハタケシメジと間違えられがちです。食べると10分~数時間後に嘔吐や下痢、腹痛など消化器系中毒を発症します。岩手県や青森県では「めじんなかせ」、埼玉県では「にたり」と呼ばれることもあります。

テングタケも広葉樹が生えている場所の地面でよく見られ、傘は灰褐色からオリーブ褐色です。食べると約30分~4時間程度で嘔吐や下痢、腹痛などの消化器系中毒を発症。縮瞳、発汗、めまい、痙攣、呼吸困難など神経系の中毒症状を引き起こすこともあります。

毒キノコによる食中毒を防ぐためには、「採らない」「食べない」「売らない」「人にあげない」の4原則を守ることが大切です。食べても安全だと確信できるもの以外は、絶対に採ったり食べてはいけません。ましてや、売ったり人にあげるのは厳禁。令和6年はすでに2件の毒キノコを原因とした食中毒が発生しています。

キノコには個体差があるため、図鑑やインターネットの画像検索などから食べられると判断するのも危険です。また、人からもらった毒キノコを食べて食中毒になったケースもあるので、もらいものでも安全かどうか不安を感じたら、食べるのは避けましょう。もし食べた後に体調が悪くなったら、すぐに医療機関を受診してください。

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出典: 広報誌『厚生労働』2024年9月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省