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医療情報ネット「ナビイ」で探すあなたの薬局
厚生労働省では今年4月から、「薬局機能情報提供制度※1」における全国統一的な検索・情報システムである「医療情報ネット(愛称:ナビイ※2)」の運用を開始しました。このサイトは、全国の病院・診療所・歯科診療所・助産所と「薬局」を探すことができるもので、患者自身が利用する・したい薬局を簡単に探せます。
たとえば、「電子処方箋が使える薬局」「オンライン服薬指導をしている薬局」「障害者対応を提供している薬局」の項目にチェックを入れるだけで、それらの薬局を検索できるのです。
本特集では、その「ナビイ」の使用法と機能を紹介するとともに、先に挙げた「電子処方箋」「オンライン服薬指導」「視覚障害者向けサービス」といったサービスが、実際の薬局でどのように提供されているかをレポート。加えて、意外と知られていない薬局・薬剤師による患者への「フォローアップ」機能や、薬の「適正使用と乱用防止」の情報も掲載します。この機会に、ナビイであなたが望む機能を持った薬局を探してみませんか。
※1 薬局機能情報提供制度:2007年4月1日より施行された改正薬事法により創設。薬局は自らの機能に関する情報を都道府県に報告し、報告を受けた都道府県は住民・患者に対してわかりやすい形でそれらの情報を提供することになっている。今年4月から、各都道府県は「ナビイ」での情報提供を開始。
※2 「ナビイ」の語源:案内を意味するナビゲーションの「ナビ」と医療機関・薬局に関する情報を意味する「イ(医)」を組み合わせた造語。医療機関・薬局に関する情報を検索できることを想起しやすく、より親しみやすく覚えられやすい愛称となることを願って付けられた。
「ナビイ」のトップページ
写真1は「ナビイ」のトップページ。薬局の検索は、向かって右側の青いバナー(「薬局を探す」)をクリックして始めます。探し方は、上記バナーの下にある都道府県名をクリックしてから、(1)「(市町村名、薬局名などの)キーワードで探す」、(2)「急いで探す(現在開店中の薬局を場所から検索)」、(3)「じっくり探す(設備や対応内容などの薬局情報から検索)」のどれかを選択。(1)に自分が求めているキーワードを入力したり、(2)(3)を選んでクリックして項目にチェックを入れて検索を進めます。
英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語でも閲覧可能。クリックした検索機能を音声が読み上げてくれる「サービス読み上げ」機能も付いています。また、画面左下にあるように、検索した薬局などを「お気に入り薬剤師・薬局」として登録もできます。もちろん、スマートフォンでの検索も可能
<PART 4 薬の適正使用>
オーバードーズのリスクを知る 薬の「適正使用」と「乱用防止」最前線
近年、風邪薬や咳止め薬などを、本来の効能・効果ではなく精神への作用を目的として、適正な用法・用量を超えて大量に服用する「オーバードーズ」が、若者を中心に広がりつつあります。この問題について、医薬局医薬安全対策課次世代医薬品安全対策推進室の福田悠平室長が解説し、注意を促します。
福田悠平
医薬局医薬安全対策課 次世代医薬品安全対策推進室室長
SNSによる体験談共有が薬物乱用を生む下地に
市販薬の乱用は昔からあった問題ですが、近年は特にSNSなどを通じて「この薬で飛べる」「これくらい飲むとこうなる」といった体験談が共有され、一般の人たちが軽い気持ちで市販薬を乱用しやすくなる状況が生まれています。
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所が行った「薬物使用と生活に関する全国高校生調査2021」では、高校生の60人に1人が市販薬を乱用した経験があり、特に10~20代の若い女性に乱用が多いと指摘されています。また図表は、救急医療機関に搬送された急性市販薬中毒患者の健康被害の具体的な症状です。
保険調剤薬局に限らず医薬品を販売する窓口は、一方で市販薬乱用の起点にもなり得ます。これは逆に言えば、薬剤師および登録販売者は、乱用を水際で直接食い止めることができる重要な立ち位置にいることを意味します。
厚生労働省としては、薬剤師および登録販売者の職能に期待し、ぜひ、市販薬の乱用を防止するゲートキーパー(門番)になってもらいたいと考えています。
薬剤師や登録販売者に求められる行動とは?
では具体的に、どのような行動が期待されるのでしょうか。薬機法(医薬品医療機器等法)施行規則では、濫用等の恐れのある医薬品の販売に当たって、次のことを求めています。
◇若年者(高校生・中学生など)が購入しようとする場合、氏名および年齢、使用状況
◇他の薬局・店舗などでの、乱用などの恐れのある医薬品の購入状況
◇適正使用のために必要な数量(原則として1包装単位)を超えて購入しようとする場合、その理由
↓
以上を確認し、適正な使用に必要と認められる数量に限り、販売すること
なお、濫用等のおそれのある医薬品として指定されているのは次に掲げる成分を含む製剤です。従来あった「鎮咳去痰薬に限る」「鎮咳去痰薬のうち、内用液剤に限る」のただし書きを削除する改正が令和5年4月に施行され、適用範囲が広がったので注意が必要です。
・エフェドリン
・コデイン
・ジヒドロコデイン
・プロモバレリル尿素
・プソイドエフェドリン
・メチルエフェドリン
「乱用ゼロ」は社会全体で取り組む課題
乱用を防ぐためには薬剤師および登録販売者は、医薬品を購入しようとする人に対する適切な声かけをしたり、その人が理解できる言葉で丁寧に乱用の危険性を説明することが必要です。そうした働きかけをすることで、その人が薬を乱用しようとした背景(つらい気持ち、心のもやもや、生きづらさなど)に気づき、適切な相談窓口に誘導してあげられるかもしれません。
また、一般の方も乱用が疑われる事例に身近で遭遇した際は、勇気を出して近くの薬剤師か専門の窓口に相談してください。「医薬品の乱用ゼロ」は、社会全体で取り組む課題です。
厚生労働省医薬局では毎年10月、正しい薬の使用を啓発する活動として、「薬と健康の週間」を実施しています。今年度の実施概要は、こちらからご確認をお願いします。
出典 : 広報誌『厚生労働』2024年9月号 発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト) 編集協力 : 厚生労働省 |