広報誌「厚生労働」2024年8月号 食事にひそむキケン|厚生労働省

食事にひそむキケン~おいしく安全に食べるヒント~

第5回テーマ:細菌 サルモネラ属菌・セレウス菌・腸炎ビブリオ

たびたびニュースになる食中毒事件。発生しやすい時期や調理・保存方法などのポイントを押さえておけば防げるはず。
それぞれの時期に起きやすい食中毒と、その予防方法などについて紹介します。




「十分な加熱」と「すみやかな冷蔵」で対策を

サルモネラ属菌は、動物の腸内や、河川など自然界に広く生息する細菌です。本菌に汚染された食品を食べると、半日~2日間程度で、激しい腹痛や下痢、発熱、嘔吐などの症状が現れます。卵やその加工品、食肉などさまざまな食品で食中毒の発生が報告されており、ペットやネズミなど動物を介した食品の汚染や、保菌した人や調理器具を介した二次汚染が発生する場合もあります。食中毒を防ぐには、肉・卵は75℃以上で1分以上、十分に加熱することが大切です。

セレウス菌は、河川や土のなかなど自然界に広く分布している細菌で、チャーハンなどの焼飯類、焼きそば、スパゲティなどの麺類やその他さまざまな食品が原因となります。熱に強い芽胞をつくって毒素を産出し、「嘔吐型」と「下痢型」の2種類の食中毒を引き起こします。嘔吐型は潜伏期間が30分~6時間で、吐き気や嘔吐をもたらし、下痢型は潜伏期間が8~16時間で、下痢や腹痛を起こします。食中毒の予防には、調理するときは十分に加熱すること、室温に放置せず、小分けにして速やかに冷蔵庫に保存するか、65℃以上で保存し、保存期間をなるべく短くすることがポイントです。

腸炎ビブリオは海に生息する細菌で、本菌に汚染された魚介類を生あるいは加熱処理が不十分な状態で食べることにより食中毒を引き起こします。潜伏期間後、腹痛や水溶性下痢などの症状が現れます。増殖が速いという特徴がありますが、真水や酸、熱に弱く、低温ではあまり増殖しません。食中毒の予防としては、魚介類は真水でよく洗うこと、短時間でも冷蔵庫で保存し、菌の増殖を抑えること、調理する場合は十分に加熱することなどが有効です。

詳しい情報はこちら


 

出典: 広報誌『厚生労働』2024年8月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省