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みんなで知ろう! からだのこと
わたしたちの身近な病気や、からだの働きをわかりやすく届けます。
循環器病ってなぁに?
第1回目は「循環器病」をテーマに、心臓や血管の働き、その予防・検査・治療について紹介します。
【theme】Q.循環器とは
循環器とは、血液が体内を循環するための器官を指し、主に心臓と血管が含まれます。心臓がポンプの役割を果たし、血液を全身に送り出します。心臓から出た血液は全身を巡り、再び心臓に戻ってくる仕組みです。このように血液がグルグルと循環することから「循環器」と呼ばれています。
血流が途絶えると酸素や栄養が供給されなくなり、さまざまな病気を引き起こします。
●死因の第2位は循環器病 生活習慣病が入り口に
――循環器病とは、どんな病気ですか?
実は、「循環器病」や「心臓病」という具体的な病名はありません。循環器病は、いくつかの病気の総称で、大きく脳卒中と心血管疾患の2つに分けられます。脳卒中は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3つに分かれます。心血管疾患は心筋梗塞、心不全、狭心症、不整脈、心臓弁膜症、心筋症、先天性心疾患、大動脈瘤、末梢動脈疾患など、多くの病気が含まれます。
このように、循環器病は非常に多岐にわたる病気が含まれています。日本における死因の第1位はがんですが、第2位は循環器病(脳卒中+心血管疾患)です。すなわち、がんと同じくらい身近な病気といえます。また、長期間の介護が必要となる原因としては、がんよりも循環器病のほうが多く、国内の医療費に占める割合は循環器病が最も高いことから、大きな社会課題となっています。
【PickUp】検査で診断が可能に
外来で行われる主な検査には心電図検査、血液検査、胸部レントゲン検査、心臓の超音波検査(心エコー検査)があります。不整脈の検査として24時間心電図検査(ホルター心電図)を行うこともあります。
これらの検査である程度の診断が可能となり、必要に応じて入院して心臓カテーテル検査や電気生理学的検査を行い、より正確な診断をします。
★血圧の目標値
まだ高血圧と診断されていない人
正常血圧:115/75mmHg未満(家庭血圧)
★すでに高血圧と診断されている人
75歳未満 125/75mmHg未満
75歳以上 135/85mmHg未満
●「心不全の見えない落とし穴」
喫煙習慣、高血圧・糖尿病なども原因に
がんと循環器病はどちらも命にかかわる病気ですが、循環器病はがんと比較して予防が非常に効果的です。たとえば、心不全は、心臓のポンプ機能が低下し、全身に必要な酸素や栄養が行き渡らなくなる病気で、息切れやむくみといった症状が出現します。この病気はがんと同じくらい死亡率が高い、注意すべき病気ですが、予防のチャンスが4回あるといわれています。
心不全は、(1)高血圧や糖尿病などの生活習慣病(動脈硬化の進行)⇒(2)心筋梗塞⇒(3)心不全⇒(4)死亡という順番で進行します。したがって、(1)の生活習慣病を防げば、(2)から(4)のすべてを防げる可能性があります。
また、喫煙習慣がある方は、高血圧や糖尿病などの既往がなくても、動脈硬化が進行するリスクが高くなると言われていますが、禁煙でそのリスクを減らすことができます。
高血圧などの生活習慣病は、「心不全の見えない落とし穴」の入り口に当たります。一度入ったら後戻りできないのが、この病気の恐ろしさですが、一方で、後戻りはできないけど立ち止まることができるのが、この病気の特徴です。
ぜひ、入り口で立ち止まり、それ以上の深みにはまらないようにご注意ください。
●8月10日は「健康ハートの日」
8月10日は「810(ハート)」と読むことができるため、1985年に日本心臓財団がこの日を「健康ハートの日」と提唱しました。この日は、心臓の健康を考え、心身をいたわる「こころとからだの休日」を過ごすために、さまざまなイベントが計画されています。小学生、中高生、患者さん、調剤薬局訪問者、医療従事者、Jリーグ観戦者、ラーメン好きの方など、多くの人々が楽しく学べる機会を提供しています。血圧や栄養について考える取り組みなども実施しています。
今年の夏は「健康ハートの日2024」で検索し、ぜひイベントに参加してみてください。心臓病啓発アンバサダーに就任した『キャプテン翼』三杉淳※のポスターが目印です!
※三杉淳は、漫画『キャプテン翼』に登場する、心臓病とともに生きる天才サッカープレーヤーです
「健康ハートの日」プロジェクトは、日本心臓財団、日本循環器協会、日本循環器学会、日本AED財団の4団体で共催しています。詳しくはこちら
●循環器病対策については、こちらをご覧下さい
出典 : 広報誌『厚生労働』2024年8月号 発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト) 編集協力 : 厚生労働省 |